2区と3区の区間記録を持つ最強留学生、ヴィンセント・イエゴン(4年)と同じ東京国際大で、もう1人の留学生も最後の箱根を迎える。同じケニア出身で日本語堪能なルカ・ムセンビ(4年=仙台育英)。ヴィンセントは補欠登録で、ムセンビが4区にエントリーされた。今回が箱根初出場のラストチャンス。当日変更の可能性もあるが、前向きに準備を進めている。

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ムセンビは1年生で出場した全日本大学駅伝は8区区間賞を獲得した。結果を残したが、箱根の留学生出場枠は1人。ヴィンセントが3年連続で出場。同学年のムセンビは1度も走れなかった。ヴィンセントの日本語通訳を務めるなど、箱根ではサポートに徹した。

仙台育英高に留学するため来日。大学駅伝では、ヴィンセントの陰に隠れた4年間を振り返り「悔しかった」と胸の内を明かした。「私より足が速いヴィンセントがいて。一緒に駅伝メンバーに選ばれながらも、本番でヴィンセントしか選ばれなかったことが多くて。選手としてみんなと走りたかった。ヴィンセントに勝てないから仕方がないです」。メニューを自分で立てるなど、腐ることなく一生懸命練習に取り組んだ。

今季は違う。初マラソンとなった8月の北海道マラソンで優勝。「最後の最後であきらめずに結果を残した。マラソンに関しては自信になりました」。悔しさを糧にし、結果を出した。

11月の全日本は故障で回避したヴィンセントに代わって出場。8区6位にとどまったが、箱根への思いをあらためて強くした。「マラソンと違う楽しさを感じた。もう1度、箱根で味わいたい。今回学生として最後なので、箱根を走ってみたい」と話している。希望区間は「6区以外は走れますが、特に5区です」。「得意」という山登りに自信を見せたが、4区にエントリーされた。

絶対エースの回復次第で箱根初出場は厳しくなる。「指導者さんが決めること」と前置きした上で「区間新、区間賞を取ることを考えている。目標達成できるよう練習を全力で頑張っていく」。最強留学生との学内出場枠争いに勝てなくても、あきらめなかった4年間。最後のチャンスもこれまでと変わらない。出場を目指してひたすら練習に打ち込む。【近藤由美子】

◆ルカ・ムセンビ 2000年12月12日、ケニア生まれ。16年に仙台育英に留学し、17、18年に全国高校駅伝に出場。8月の北海道マラソンは2時間10分49秒で優勝。1万メートル公認記録は28分20秒09。経済学部在学中。性格は「勉強熱心」「人懐っこい」と評判だ。愛称はルカ。167センチ、57キロ。血液型B。