陸上女子100メートル障害の東京オリンピック(五輪)代表の寺田明日香(33=ジャパンクリエイト)が、今季初戦として200メートルに挑み、24秒63(追い風0・2メートル)をマークした。本職の100メートル障害へ向けた調整レースを走り終え、「ラスト50メートルでこんなに疲れるのか」と新鮮そうな表情を浮かべた。

200メートルの出場は「母に『中学生の時に出ている』と言われましたが、私は全く記憶にございません」と打ち明けるほど久々だった。ペースを抑え気味にスタートし、コーナーを曲がって直線へ。同組8人中3着につけ「150メートルを通過したあたりで『疲れるぞ、これ』って思いました」と疲労感をにじませた。

今季初レースに200メートルを選択したのは、2つの意図がある。1つ目は「東京五輪前から、長い距離を走ったほうが調子がいいことにうすうす気づいていた」という自身の感覚によるもの。2つ目は100メートル障害と比較し「運動時間が長くなる」ことで、乳酸耐性やスプリントを強化する狙いだ。

実は長い距離を走るのは「嫌い」と明かす。それでも“課題克服”に着手したのは、加齢とともに競技との向き合い方が変化してきたからという理由もある。

「今はいいところを伸ばそうとすると、技術的にかなり高いレベルになるので、そこを大きくステップアップするのはかなり難しい。苦手な部分を埋めたほうが、トータル的には上がっていく」

総合的に競技力を向上させるため、200メートル出場を決断した。「テストが2科目合計だったとして、今までは得意な国語で稼いでいたけど、算数もやらなきゃいけなくなった感じ」と笑顔で理由を説き、今後も200メートルに出場する可能性を示唆した。

ただ、あくまで本職は100メートル障害。8月の世界選手権(ブダペスト)へ出場するべく、参加標準記録の12秒78を切ることを目標に据える。

4月の織田記念国際(広島)に同種目での出場を予定しており「例年の3月にしては調子がいい。丁寧に痛いところなく走れれば、そんなに難しくはないかな」と自信をのぞかせた。

最大目標のパリ五輪までは1年半。1月に33歳を迎えた寺田が、自分なりの歩調で壁を越えていく。【藤塚大輔】