プロスケーターで元世界女王の安藤美姫さん(29)に、観戦ビギナーの井上真記者(52)がフィギュアスケートの基礎知識を聞く「教えて! 美姫先生」の第4回は、衣装って何でもいいんですか? です。衣装のルールなどについて教えてもらいました。

真剣な表情で語る安藤美姫さん(撮影・足立雅史)
真剣な表情で語る安藤美姫さん(撮影・足立雅史)

 井上記者 衣装にルールはありますか。

 安藤先生 以前はパンツはダメでしたが、今は許されるようになりました。(使用曲も)ボーカルがダメという時期もありましたが、今はそういう制約は特にありません。

 井上記者 結構自由なんですね。

 安藤先生 アイスダンスでは、女性は素肌のおなかを見せてもいいのですが、シングルでは肌色のネットをつけないと減点になります。背中が見えても、きれいだなぁと思うぐらいで、女性のフェロモンはそんなに感じないと思うのですが。おへそが見えるとなんかどうなんだろう…と。ちなみに、私はちょっと肌寒いくらいの方が好きでした。

2005年フィギュアスケートGPファイナルでSPの演技を終えた安藤美姫さん
2005年フィギュアスケートGPファイナルでSPの演技を終えた安藤美姫さん

 井上記者 布の面積に決まりはあるんですか?

 安藤先生 特にありません。全部肌色でも大丈夫ですよ。全体をシャンパンベージュの色などにして、ヌーディーに見せることもできます。

 井上記者 えっ、全身肌色ですかっ!

 安藤先生 ええ、でも、着ませんよ! 誰もそういうの着ませんから!

 井上記者 はい。

 安藤先生 私の場合は衣装は何度も打ち合わせをして決めました。ですから、いつも納得のいく衣装で演技することができました。

 井上記者 フィギュア選手は他のスポーツ選手とは少し異なりますね。

 安藤先生 そうですね、曲を決めて、衣装を決めて、振り付けも、ということになりますね。スポーツ選手としての側面とエンターテイナーとしての要素が必要になりますね。同じようなスタンスの競技は、シンクロナイズドスイミング、新体操くらいでしょうか。

 井上記者 選手に最も大事なものは何ですか。

 安藤先生 曲を深く理解して、自分の動きとの調和が取れて、そこに衣装がマッチすれば、それでその選手のフィギュアは成立するんですね。ジャッジが採点し、得点で順位は決まりますが、選手が力を出し切る姿に寄り添う声援があれば、それがとてもいいファンと選手との関係性だと感じますね。

 井上記者 ファンの存在も演技の大切な部分、ということですか。

2004年、エキシビションにヘソ出しルックで登場した安藤美姫さん
2004年、エキシビションにヘソ出しルックで登場した安藤美姫さん

 安藤先生 選手は演技が終わると、最後にジャッジの方を向いてあいさつしますが、私はジャッジに背中を向けて観客席に向かってあいさつをしてました。選手は自分を取り囲む360度すべてのお客さんと一体になることが大事、そういう思いを込めてのことでしたけど、あまりそういう選手はいなかった気がしますね。(つづく)

【取材・構成=井上真、高場泉穂】