伊藤華英のハナことば

日本を知り、世界を知る時間にしたい/伊藤華英

今、自分は何ができるのか。

自宅でできるエクササイズを紹介する動画を掲載した筆者のツイッター(@hanaesty)
自宅でできるエクササイズを紹介する動画を掲載した筆者のツイッター(@hanaesty)

日々、こんなことを考えて過ごしている方も多いだろう。無力感を感じている人ももしかしたらいるかもしれない。しかし、現在の日々の生活中で、自分1人一人の行動が誰かを助ける。そして家族を助けるのだ。

“StayHome”「おうちにいよう」これで人を助けられるとしたら、このことだけで、まずは十分だと思う。


現役時代、ショックだったことがあった。10代のころ、世界のトップスイマー同士で話している中に、私も入って聞いていた。そしたら、あるスイマーが自国の経済、政治、宗教について話し始めた。

そのスイマーはオリンピックメダリスト。私は「自分の競技、自分の自己ベストのこと」は話せたが、そのスイマーが話していたことについては話せなかった。海外の選手と一緒のときは自分の意見を言うことが大事とはわかっていたので、何か話さなきゃと感じていたが、ただの一言も自分の知見を話せなかった。

この経験は現役中に学んだ大事なことの1つだったと言っていいだろう。


これが今の状況と何が結びつくかというと、自身を取り囲む環境に興味を持ついい機会なのかなと私は感じている。世界を知るにつれ、日本はとてもいい国だと感じることができたし、同時に海外の素晴らしさも知った。「相手を知る」ことこそが、相手をリスペクトすることにつながると思う。自分のエリアではないと興味を持たなくてもいいわけではないと感じる。興味を持ち、意見を持つことが少しでも根付いたらと最近は考えている。


現在、さまざまなスポーツ団体がアスリートを通じて、この苦境と戦うための方法やメッセージを発信している。SNSで目にしている方も多いだろう。

日本サッカー協会(JFA)は「Sportsassistyou~いま、スポーツにできること~」と掲げ、プロサッカー選手のレッスン動画や、自宅でできるエクササイズなどを無償で発信している。

また、日本オリンピック委員会(JOC)も同じく「いまスポーツにできること」というテーマで、企画に賛同したアスリートから自身のSNSを通じて“StayHome”“Thanks”“StayHealthy”などをキーワードとして発信されている。

私もJOCの企画に賛同し、自宅でできるエクササイズを紹介させてもらった。たくさんのアスリートが発信していることには、私も元気をもらえた。

また、世界中から「信じています」「みんなで乗り越えましょう」などのメッセージをもらうと、今は一致団結することが未来へつながるのだと前向きになれる。JOCの公式SNSでフィギュアスケーターの羽生結弦選手が「真っ暗だからこそ見える光がある」とメッセージを発信していた。確かにそうだと思ったし、彼の言葉は心にいつも響く。


「アスリートはなぜポジティブになれるんですか?」

こんな質問を最近されたのだが、その理由の1つは「団結できる」からだと思う。

どんな言葉でも、思いでもいい。

自分が意見を持つこと。諦めないこと。そして今できることをやっていきたい。

(伊藤華英=北京、ロンドン五輪競泳代表)

競泳界で「美女スイマー」として活躍し、北京、ロンドン五輪に出場した伊藤華英さんが、水泳に限らずさまざまなスポーツの魅力をアスリート目線でお伝えします。
 ◆伊藤華英(いとう・はなえ)1985年1月18日、埼玉県生まれ。01年世界選手権で初の日本代表入り。08年北京五輪で背泳ぎ2種目出場、12年ロンドン五輪で自由形リレー2種目出場。12年秋に現役引退。順大大学院博士後期課程修了。日大非常勤講師。173センチ。

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