サンウルブズがブルース(ニュージーランド)に48-21で快勝し、昨季(1勝1分け13敗)を上回るシーズン2勝目を挙げた。前半を14-21の7点差でしのぐと、後半は運動量の落ちた相手を攻守に圧倒。6トライを挙げて突き放し、ニュージーランドのチームから初めて勝利を収めた。「日本代表強化」を掲げるチームが、価値ある金星で参戦2年目を終えた。

 気温31度、強烈な日差しが照り付けるピッチで、オオカミ軍団が優勝3度の強豪に襲いかかった。2点を追う後半18分、ラインアウトのボールを確保すると、BKも加わった12人のモールを形成。一時退場による数的優位も生かして15メートル近くを押し込み、相手の故意の反則による認定トライで試合をひっくり返した。

 このプレーで流れを変えると試合のテーマに掲げた「スイング・ザ・バット」の言葉通り一気に攻め手を強めた。鋭いタックルと粘り強い防御から相手ボールを何度も奪取。負け続けた鬱憤(うっぷん)を晴らすかのようにトライを重ね歓喜のノーサイドを迎えた。遠かった2勝目にティアティア・ヘッドコーチは「よく耐え、しっかり競れた。素晴らしい80分」と選手をたたえた。

 初勝利を挙げたブルズ戦から悪夢の8連敗。浮上のきっかけは、94失点の記録的大敗を喫した今月2日のライオンズ戦だった。試合翌日に全選手が集まりミーティングを実施。戦術についても主体的に話し合い、気持ちの面でも思いを1つにした。迎えた最終戦。前日練習時にはスタッフが作成した、今季の好プレーを編集した5分間の映像を全員で見た。「プライドを取り戻す」。決意を固め、今季最後のピッチに立った。

 苦しみを乗り越えてつかんだ1勝に、WTB松島は「チーム全体として一体感が出せた」、SO田村は「全員がリーダーシップを持って戦えた」と胸を張った。日本代表強化を掲げ、今季は昨年の42人を大きく上回る59人がチームに所属した。経験という貴重な財産は、最後に大きな結果につながった。【奥山将志】