15年W杯日本代表の神戸製鋼フッカー木津武士(29)が切れ味鋭いステップで開幕戦勝利を呼び込んだ。

 12-9の前半37分、中盤の右端でボールを受けると、183センチ、114キロの巨体でステップを踏み、相手を華麗に抜き去った。20メートル程度独走し、最後はトライしたSHエリスへラストパス。リードを10点に広げる貴重なプレーとなった。

 試合後は“木津節”がさく裂。まずはステップに関して「たまたまいいボールをもらった。いつも練習中にチョけて(ふざけて)やっているんです」とニッコリ。エリスへのパスについても「僕らみたいな人は、抜けた瞬間に味方を探すんです」と助けを求めた結果だと強調した。

 明るい木津の表情は、復活に向けての順調さをうかがわせる。今春は首のヘルニアや腰、股関節の痛みに苦しみ、6月にアイルランド代表などと戦った日本代表メンバー入りを逃した。「代表を外から見ていて、寂しさがあった。『こんなにおもんないもんなんやな』と思った」。フッカーは若手が代表に名を連ね、木津は追いかける立場になっている。

 現状を受け止めるからこそ、神戸製鋼でのアピールを誓う。「トップリーグで良ければ、選ばれると思う。11月には代表に入れるようにやっていきたい」。ユーモアあふれるやりとりの中に、力強い言葉を残した。