男女の優勝者が、初めて編成される日本代表入りを果たした。男子の池慧野巨(いけ・けやき、17=大阪府)はレベルの高いランを見せて234点で初制覇。女子の伊佐風椰(いさ・かや、16=神奈川県)も155点で初優勝した。8月のジャカルタ・アジア大会で初めて採用されるだけに、決定までもドタバタ。規定通り代表になった2人も「アジア大会?」と首をひねった。

 「どんなのか、わからんし」。池は、初めて多くの報道陣に囲まれ「アジア大会は?」と聞かれて戸惑った。無理もない。「アジアの人が集まる試合」(池)ぐらいの知識しかない。日本選手権のエントリーも締め切りギリギリ。「(東京は)遠いし」と出場すら乗り気でなかったのだ。

 伊佐も同じ。「優勝したらインドネシア行ける」と思ってはいたが、アジア大会は「ピンとこない」。スケートボーダーとして初めて日の丸を付けるが「今まで付けたことないから、わからない」と首をひねった。

 アジア大会での実施が決まったのは16年9月。代表選手は日本オリンピック委員会(JOC)派遣だが、これまでJOCに登録する選手もいなかった。今年3月までに18年度の登録を済ませた選手だけが、この日の優勝で代表に決まった。池と伊佐は登録していたが、未登録の選手が勝ったら代表にもできなかった。

 もともと「オリンピック」の意識が薄い競技だから「アジア大会」も頭にない。大会概要には「派遣手続き欠席の場合は、権利を失う」と、他競技ではありえない注意書きまであった。ドーピングに選手規範、これからが大変。「腰パンは怒られるよ」と言われた池は「どうしよう」と驚いていた。【荻島弘一】