ボルダリングワールドカップ第5戦が、6月2、3日に東京・八王子エスフォルタアリーナで行われる。連載「ここに注目!! ボルダリングW杯」第2回は、W杯開幕戦で優勝し、女子のW杯ボルダリング年間ランキング首位に立つ野中生萌(みほう、21=TEAM au)を紹介する。

 開幕戦で優勝し最高のスタートを切った野中は、日本でのW杯には悔しさがある。「今まで日本のW杯で良い成績が残せていない」。16年の埼玉・加須、17年八王子ともに3位。「今年こそ恩返しを。優勝をしたい」と力強く宣言した。

 野中がクライミングと出合ったのは9歳。幼少期から体を動かすことが大好きで、保育園の時にはクラシックバレエ、小学校低学年では器械体操、冬には家族でスキーが習慣だった。好きな言葉「今に見てろと笑ってやれ」の通り、3人姉妹の末っ子は負けず嫌いで、姉の背中を追いながら「楽しさ」を追求した。中でもお気に入りはトランポリンで「跳ぶ感覚はクライミングのバランス感覚に生きている」とうなずく。

 13年、高校1年の16歳で日本代表入りしてリードのW杯に出場。海外遠征と勉強を両立させるために、高校2年の夏には通信制の課程に移行した。「自分がやりたいことを好きなようにさせてもらったおかげで、今クライミングがやれている」と両親への感謝も口にする。「今までのスポーツで一番楽しいのがクライミング」と、原点である「楽しさ」とともに虎視眈々(たんたん)と頂点を狙う。【戸田月菜】