19年ラグビーW杯日本代表最多6人が所属するパナソニック(昨季6位)が、トヨタ自動車(同4位)に40-20で快勝した。

後半37分には、20年東京五輪を目指して24日から7人制日本代表の熊谷合宿に参加するWTB福岡堅樹(27)が“有終トライ”を挙げ、開幕2連勝に貢献。日本が誇るトライゲッターは15人制の今季最終戦で、トップリーグ(TL)史上最多の3万7050人を魅了した。

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感謝の思いをトライで伝える。会場を埋めた3万7050人が、パナソニックの背番号11の一挙手一投足に注視した。8点リードした後半37分。敵陣22メートル付近で福岡が相手パスの乱れた一瞬の隙を突き、ボールを奪取。右手人さし指を高々と上げ、インゴール中央へ飛び込んだ。50メートル5秒8の快足を生かし、勝負を決めたトライ。「これだけ大勢の方に囲まれて、最高の仲間たちと大好きなラグビーが出来て、本当に幸せな瞬間だった」と喜んだ。

12日開幕のクボタ戦に続き、2戦連続で先発出場。24日から7人制代表合宿に参加するため、この日が今季最終ゲームとなった。前半28分には、ステップした際に芝に滑って左膝付近を負傷したが、テーピングをして続行。「試合は戦場」と捉え、体を張り続けた。最後は自身で“有終トライ”を決めた。世界的名将のディーンズ監督は「福岡は非常に特別な選手。彼のパフォーマンスを多く方に見せることが出来、心からうれしく思う。我々は幸せものだ」と称賛した。

4位だった16年リオデジャネイロ五輪に続き、東京五輪を目指す。4年前の雪辱を胸に「やるからにはメダル」と強い決意を示す。自身が挑戦することで、競技の知名度向上を図る狙いもある。まずは、練習生として参加し、7人制のスピードを重視した肉体改造を施して代表入りを目指す。

W杯、五輪を経て、医師の道へ-。父で歯科医の網二郎さんから人生の岐路に直面した際、「一番後悔しない道を選べ」と言われてきた。来季までチームとの契約は残っているが、己の道を歩む。最後は仲間たちにこう約束した。「離れてもパナソニックの一員。いったん離れるけど、帰ってきた時に互いに笑えるような活躍をしよう」。

会場を出る際、W杯サモア戦の横断幕に福岡のみサインと日付を記した。「2020・1・18」。27歳のスピードスターにとって、特別な日となった。【峯岸佑樹】

▽フッカー堀江 堅樹は常に成長する選手。7人制でも必ずやってくれると思うし、活躍が楽しみ。自分も負けてられない。

▽プロップ稲垣 7人制にいっても、パナソニックの一員であることは変わらない。互いに刺激を与え続けられるようにしたい。

◆7人制ラグビー 1883年に英スコットランドで誕生。15人制と同じグラウンドを使用し、前後半7分で行う。FW3人、BK4人で構成される。広いフィールドを少人数でカバーするためボールが大きく動き、スピードや瞬発力、パスなどのハンドリング技術が重要視される。1日複数の試合を実施することが多い。五輪では、16年リオデジャネイロ大会から正式競技となり、福岡、レメキら12人で臨んだ男子は4位だった。

◆男子7人制ラグビーの東京五輪への道 日本協会は昨年12月、五輪第2次候補を発表。15人制の15年W杯代表の藤田慶和ら19人の候補と練習生9人の計28人を選出。17日に、福岡ら6人を練習生として追加招集することを発表。19年W杯代表のレメキ、松島は入らなかった。岩渕HCは現在も数人と協議を重ねており、順応するためにも早めの合流を求めている。今後は、国内合宿と国際大会を経て、5月に20人程度に絞り、6月に最終12人を選出する予定。