水球のブルボンウオーターポロクラブ柏崎(ブルボンKZ)が、細心の注意を払いながら練習再開の準備を進めている。新型コロナウイルス感染拡大の影響で2月29日から練習を休止していたが、6月1日の再開を目指して、感染防止のための練習方法などを模索してきた。男女計4人の東京オリンピック(五輪)代表候補を擁するビッグクラブ。社会人チームを含む、10カテゴリーのチームを統率する青柳勧総監督(39)に話を聞いた。

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ブルボンKZは“感染者ゼロ”に向け、厳格なルールを設けて練習を再開する。選手は練習前に検温、うがい、アルコール消毒を含む手洗いを徹底。練習前と後の選手で更衣室内が「密」になるのを避けるため、プールでの練習人数を制限し、各カテゴリーの練習時間帯も大きくずらす。全員が集合してのあいさつもなし。激しいボディコンタクトが水球の醍醐味(だいごみ)だが、練習はシュートとパスが中心で当面の間、接触プレーは禁止となる。コーチ陣のマスク着用も義務づける。青柳総監督は「新しい指導、新しい練習の仕方を試行錯誤している。感染防止策を、どこよりも慎重に練って、練習を再開したい」と語った。

練習再開は、県内の高校が通常授業に戻る6月1日を予定。社会人をはじめ、クラブ全体が練習を休止したのは2月29日。ほぼ3カ月ぶりの再開となる。3月3日には東京五輪の水球代表候補が男女ともに各16人に絞られ、ブルボンKZからは男子3人、女子1人が選出された。代表候補合宿は3月中旬まで行われ、対象の4選手は合宿に参加したものの、それ以外の社会人選手は、他のカテゴリーとともに活動を休止、決して特別扱いはしなかった。青柳総監督は「クラブの理念として青少年育成に重点を置いている。社会人チームも切り離しては考えられない」と、練習を一斉に休止した意図について説明する。

新型コロナウイルス感染拡大防止へ、いち早く練習を自粛して再開後のプランを練ってきたブルボンKZだが、今後については楽観視していない。感染の第2波が訪れれば、練習は再び停止となるだけに選手のモチベーション維持にも苦慮している。というのは、U-18年代の高校生は8月のジュニア五輪中止が決定。もし、9月に予定されている国体がなくなれば、今季は一度もシーズンを迎えることなく引退となるからだ。インカレ、日本選手権の開催もまだ見通しが立っていない。「目標が見つからない中でどう、奮い立たせるか」という難題は抱えたままだ。

もっとも、今は練習再開に向けて集中。青柳総監督は「クラブの子に感染者が1人でも出たら学校、家族や指導者が所属する企業がストップする。影響は計り知れない。何としても、防止しなければならない」と強く決意。ブルボンKZは、新型コロナウイルス感染完全阻止に向け、防止策を徹底していく。【涌井幹雄】

◆青柳勧(あおやぎ・かん)1980年(昭55)8月19日、京都府出身。鳥羽高(京都)3年の18歳で史上最年少(当時)で日本代表入り。筑波大2年時に1年間、休学してスペインに水球武者修行。06年にイタリアリーグ・セリエA1のシステマ・ブレッシアでプレー。日本人初のセリエA1選手。欧州チャンピオンズリーグも日本人初で経験。10年にブルボンKZを創設。15年に現役引退。185センチ、95キロ。血液型AB。