100日後の舞台は譲れない。

体操の東京オリンピック(五輪)代表選考会の初戦となる全日本選手権(高崎アリーナ)の開幕を翌日に控えた14日、寺本明日香(25=ミキハウス)の言葉は他の誰より強く響いた。

「五輪がどういうものか。分かるのは自分だけだと思うので、人に譲れない」。きっぱりと、誇りを前面に出した。

19年世界選手権、エース村上を欠く中、主将として団体の枠取りに奮闘した。昨年末の全日本選手権で13位に沈み、心も沈む中で、「何のために死ぬ気で(枠を)取ってきたんだ」と自問。2年前を思い出し、跳馬の大技チュソビチナなどを仕上げてきた。

20年2月に左足のアキレス腱(けん)を断裂し、一時は絶望的だった夢舞台。今大会と5月のNHK杯の結果で上位3人に入れば決定する。3大会連続の五輪出場は、池田敬子、松久ミユキなどわずか。「譲れない」。その一心が体を動かす。

▽体操萱和磨 100日を多いととるか少ないと取るかは自分次第だと思ってる。今できることは目の前の試合を一つ一つこなしていくこと。