宇都宮ブレックス(東地区4位)が5季ぶり2度目のBリーグ年間王者に返り咲いた。琉球(西地区1位)相手に第1戦を先勝し、この日も82-75でBリーグ初年度の16-17年シーズン(当時栃木)以来の優勝。

ワイルドカードでの進出から昨季王者の千葉、川崎を連破し、無傷のCS6連勝で頂点に立った。日本代表SG比江島慎(31)が両軍最多の24得点でMVPに輝き、男泣きした。琉球は初のファイナルで経験の差を痛感した。

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やはり最後はエースが決めた。残り59秒、74-72と2点差に迫られた場面で比江島が突っ込む。バスケットカウント。5点差に広げて歓声と沈黙に6876人を二分させた。再び2点差に詰められた残り22秒では体を張ってファウルを誘った。フリースロー3本とレイアップで7点差へ。5季ぶりの年間王者に導いた。

終了のブザーが鳴った瞬間、男泣き。両軍最多の24得点でMVPに選ばれた。

「うれしい。去年、同じ舞台で悔しい思いをして、あり得ないプレーをしてしまって…。チームとしても個人としても成長できた」

昨季も決勝に駒を進めたが、第3戦の残り2分という正念場での軽率なファウルで退場した。エースを欠いては逆転できなかった。1年後、借りを返す2戦合計41得点。「移籍後は戦術理解に時間がかかったし、いろいろ言われた。信頼に応えられた。間違っていなかった」と涙した。

前身栃木への移籍が決まった18年、いったん契約解除してオーストラリアNBLに日本人で初挑戦した。同年4月21日に亡くなった母淳子さんが陰で整えてくれた道だった。墓前に進化を誓い、帰国後の宇都宮でエースに。得点源だったCロシターら主軸が退団した今季、真の中心になった。

戦力ダウンが懸念された中、東地区4位からCSで下克上。準々決勝で千葉にリベンジし、準決勝では川崎に敵地で全勝した。レジェンドの田臥主将らが新加入の外国人選手を支え、そのスクリーンやアシストに「仲間が自己犠牲を貫いてくれた」と比江島。「だから自分は得点を決め切るところに専念できた」結果が6戦112得点の全勝V貢献に結実した。【木下淳】