常翔学園の選手たちのむせび泣く声が、通路に響いた。流通経大柏を相手に、前半を14-0のリードで折り返しながらの逆転負け。「ごめんなさい。ごめんなさい」。号泣するロック梁本旺義(おうぎ、3年)主将の肩を、野上友一監督(60)が抱きしめた。
大阪工大高時代からいい時も悪い時も、チームを支えてきた同監督は「春から盛り返していいチームになっただけに、勝たせてやりたかった」。あえて笑みを浮かべたが、選手のいるロッカー室に入ると、こらえ切れず目頭をぬらした。
優位に試合を進めながら、残り13分で悪夢をみた。前半はWTB高井、CTB北田のトライで14点をリード。後半17分にパスミスから失点すると、流れが変わった。同22、26分とモールを起点に連続トライで逆転され、5点を追う展開に。最後の望みをかけた終了間際。地元の大声援を受け、敵陣10メートルまで迫りながらも、無情の笛が響いた。
「(パスミスは)果敢に攻めた結果。あれはしゃあない。もう1本(トライを)取らないと、全国大会では勝てない。攻撃型のチームやから」(野上監督)。
88年度の決勝戦(89年1月7日)は、昭和天皇崩御により茗渓学園と両校優勝。大阪・日本橋にあった宿舎旅館で、決勝の中止を選手に伝えたのは当時ヘッドコーチの野上監督だった。入部当初から選手には部の歴史を教えてきた。だからこそ梁本主将は「平成最後も自分たちが日本一になりたかったです。僕が先頭に立って(相手を)止めないといけなかった」。途中交代した2年生FB竹内は通路の壁に頭をこすりつけながら、いつまでも声を上げて泣いていた。
「伝統は復活した。必ずや、次につながる」。最後に優勝した12年度以来の4強を逃しても、野上監督はそう言った。この敗戦は、強豪復活の糧になる-。そう信じているからこその言葉だった。【益子浩一】



