ラグビー日本代表候補で編成した特別チーム「ウルフパック」が20日、千葉・市原市内で、スーパーラグビー「ハリケーンズ」の下部チームと強化試合を行い、66-21で大勝した。

SOが本職のCTB松田力也(24=パナソニック)が、SO田村優(30=キヤノン)とともに効果的なキックで攻撃をけん引。計10トライを奪い、圧勝した。代表候補の強化試合はあと3戦予定されており、次戦は27日にウェスタンフォース(オーストラリア)と東京・秩父宮で対戦する。

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W杯開幕まで5カ月。残り少ないアピールの場で、松田が光るプレーを見せた。田村が前がかりになる相手の防御裏を効果的なゴロキックで崩せば、24歳の若武者も続く。鋭いランで何度も突破を図り、前半17分には、ピッチ中央から右サイドへピンポイントのキックパス。WTBレメキの逆転トライを演出するなど、圧勝劇に貢献した。

田村が退いた残り10分からはSOに入り、「ミスもあったし、70点ぐらいの出来だが、手応えもあった。優さんとの連携も含めて良い流れでプレーできた」。ジョセフ・ヘッドコーチも攻撃をけん引した2人を称賛。「キックは我々の戦いの中で重要な部分。プレッシャーの中でそれが使えるのはスキルと良いビジョンがあるから」とたたえた。

16年からのジョセフ体制で、絶対的な司令塔に成長した田村と、その背中を追う松田。各ポジションでW杯への代表争いが続く中、指揮官はSOについては2人へ大きな信頼を寄せつつ、「1番は田村、カバーが松田」とその序列も明確にする。松田は田村からゲームコントロールを学ぶ一方、「まねをしていては、絶対に抜かせない」とライバルへの意識も緩めない。

今季はジョセフHCの方針で、2月から国内での代表候補合宿でスロー調整を続けた田村とは異なり、松田はスーパーラグビーの日本チーム、サンウルブズに開幕から参加。世界の強豪を相手に、フィジカルと得意とする「仕掛ける」プレーを磨いてきた。

SO、CTB、FBもこなす万能性が魅力の1つも、各世代の代表でプレーしてきたSOへのこだわりは強い。「W杯では必ず自分が10番のジャージーを着たい」。チーム内のハイレベルな争いが、日本の成長につながる。【奥山将志】