「日本式」スクラムの力の見せどころだ。日本代表は17日、ロシアとの開幕戦(20日)に向け都内で約2時間の調整を行った。

16年秋から指導する長谷川慎スクラムコーチ(47)は、会場となる東京・味の素スタジアムの、天然芝に人工芝を打ち込んで耐久性を高めた“ハイブリッド芝”を「大好物」と表現。W杯を想定し、3年かけて強化してきたスクラムでフィジカル自慢のロシアを打ち崩す。

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ロシア戦の戦略について聞かれた長谷川コーチは、詳細こそ「秘密です」とけむに巻いたが、表情からは手応えがにじみ出た。今月6日の優勝候補・南アフリカ戦ではマイボールスクラムを9回すべてキープ。「選手に『お前たちはできる。十分強い』と言ってきたが、あの試合で自信をつけた。ロシアも南アと同じように体が大きいが、相手の長所を出させないように組みたい」とイメージした。

決戦が行われるピッチは、めくれやすい海外の芝ではなく、整備が行き届いた日本のハイブリッド芝。印象を聞かれた同コーチは「大好物です」と即答し、「日本の芝をもとに(今の)日本のスクラムができている。W杯を想定して、この3年間やってきた」と言葉に力を込めた。

選手が絶大な信頼を寄せる「慎さんのスクラム」。その最大の狙いは、体格で勝る相手に対抗するため「8人の力を漏らさない」ことだ。第1列の3人は相手を押すのではなく「崩す」イメージで、後ろの5人が押す力を無駄なく相手に伝えることを意識する。組む準備を相手より早め、16本の足の位置や角度、8人の同調性などを徹底的に追求。どこにもまねできないスクラムを作りあげてきた。

レフェリーへの印象がジャッジに影響するとされるスクラム。フッカー堀江は「変な印象をつけると、次の試合、その次の試合と響いてくる。ロシア戦のファーストスクラムが重要」と話している。決戦まで残り2日。時間をかけて培ってきた技術で、世界の壁をぶち破る。【奥山将志】