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映画評

    2006/03/18 バックナンバーへ

何もかも気にくわない人にオススメ

「かもめ食堂」(日)

 劇中にも出てくるせいか、ホカホカのおにぎりをほおばった瞬間のような、至福のひとときに包まれた。ささやかな幸せで満たしてくれる、優しい作品だった。

 何やら思いきりクセがありそうなタイトルは、北欧フィンランドの首都ヘルシンキに日本人女性が開店した食堂の名前。内容は裏腹で、物語、人物、映像…どれも潔いほどシンプルだ。

 毎日を一生懸命生きた上で流れに身を任せれば、必ずいいことがある。女主人サチエ(小林聡美)はそれを忠実に実行する。手抜きはしない。客が来なくても、毎日食器をピカピカに磨く。まごころを込めて料理を作る。仕事を言い訳に料理、掃除、交遊関係まで怠って、「いいことないかな〜」なんて、のんきに言っている自分が恥ずかしくなる。

 サチエ同様、ミドリ(片桐はいり)、マサコ(もたいまさこ)も日本にすべてを置いてきて、何も持たない人である。しかし、現実逃避して慰め合っているのではない。ほどよい距離感を保った3人のやりとりが心地よいのは、肩の力の抜き方が決して無理をして、そうしているのではないからだ。

 雄大な自然を背景に、規則正しく生活し、食事を丁寧につくり、それを大切に味わう。何か大事件が起きるわけではない。実に不幸なことに、現代日本からみると、そんな日常こそが特別なことに見えてしまう。ちょっと行き詰まっている、人生こんなんでいいのかなあと疑問を持っちゃった、何もかも気にくわない…そんな人にオススメの薬だと思う。

(このコラムの更新は毎週土曜日です)

【近藤由美子】
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