データを参照すれば、観戦がさらに楽しくなる。過去3年間の女子トップチーム2225試合と、今大会準決勝までのデータを元に、北大自律系工学研究院の山本雅人教授(53)に決勝の見どころを聞いた。

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山本教授によれば、英国は今大会、有利な後攻での失点が極めて低い。スチールを防ぐ「スチール・ディフェンス」の数値は13・3パーセント。つまり後攻10エンドで、得点を奪われる確率は1回強しかない。最高峰の五輪で、さらにここまで4敗していることを踏まえれば、まさに驚異的だ。

日本としては先行での得点がほぼ望めない。ならば、後攻でどれだけ複数得点をとれるかかがカギとなる。後攻での複数得点率を示す「ハンマー・エフィシェンシー(HE)」という数字は非常に高く、40・0パーセント。後攻が10エンドあれば、4回は2点以上を挙げていることになる。

英国のHEも36・6パーセントと、日本にはやや劣るものの高い数値。両チームともビッグエンドをつくれる攻撃力を持っており、決勝は点の奪い合いとなりそうだ。

過去3年間の英国の戦いぶりを分析すると、序盤に3、4点と大量リードされた場合でも、すぐにひっくり返す割合が非常に高い。ただし中盤以降に3点以上リードされると、勝率は平均以下へと一気に低下。日本としては、仮に序盤に大量点を奪っても安心できないが、後半一気に突き放す展開になれば勝機が大きく広がる。【奥岡幹浩】

◆山本雅人(やまもと・まさひと)1968年(昭43)7月30日、札幌市生まれ。札幌旭丘-北大-同大学院修了後、現在に至る。専門は知能機械学や知能情報学。趣味のボードゲーム「バックギャモン」の友人に誘われたことからカーリングを始め、チーム「BackgamMoN」ではスキップを務める。

◆決勝進出両チームの今大会スチール・ディフェンス

(数値が低いほど、後攻時に得点を奪われる確率が低い)

日本 21・4パーセント

英国 13・3パーセント

◆決勝進出両チームの今大会ハンマー・エフィシェンシー(数値が高いほど、後攻時に複数点の確率が高い)

日本 40・0パーセント

英国 36・6パーセント

(データは北大山本教授提供、数値は準決勝終了時点)

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