ピョンチャン(平昌)パラリンピックのアルペンスキー女子座位で大回転の金をはじめ、出場した5種目すべてでメダルを獲得した村岡桃佳(21=早大)が27日、東京都内の味の素本社を訪れた。

 約1年間にわたって同社から食事面のサポートを受けたことも、冬季パラリンピック1大会日本選手最多のメダルにつながった。「以前はコンディショニングをあまり意識していませんでしたが、勉強し、成長させていただきました」と集まった社員を前に感謝の言葉を口にした。

 「食べることが嫌いでした。食べなくて済むなら、それでいいと思っていた」。村岡は正智深谷高(埼玉)時代から世界の舞台で活躍してきたが、食事に関してはまったく興味がなかったという。好物は「甘いもの」だが、極端な小食と偏食。長期の海外遠征に出ると体重の増減が激しくなり、体調の維持に苦心していた。

 そんな村岡が昨年3月から味の素のサポートを受けるようになった。スタッフと勉強会を重ねて食事の重要性を学び、海外にも日本から食材を持参して自ら調理することを習慣とした。その結果、レースに臨むためのベスト体重38キロを、昨年から今年にかけてほぼ維持できたという。3月9日の夜、平昌大会開会式で日本選手団の旗手を務めた。翌10日の滑降で銀メダルを獲得し、日本の先陣を切った。その後、18日の最終日までに5種目を滑るハードな日程を乗り越えられたのも、コンディションが安定していたからだ。

 レースと練習と夜のメダルセレモニーで忙しく、「メークを直す時間もなかったです」と村岡は笑顔で振り返った。22年北京大会へは世界から目標にされる立場になったが、「私は何も変わっていません。食事、トレーニングやスキーの性能アップなどできることをしっかりやって、北京では今回よりもきれいな色のメダルをより多く取りたい」。落ち着いて、明確に今後の競技生活を語った。【小堀泰男】