男子400、1500メートル(車いすT52)の世界記録保持者で、東京パラリンピックで金メダルが期待される佐藤友祈(31=モリサワ)が、プロ転向後初レースになった400メートルを笑顔で振り返った。

「タイムは全然ダメですね。でも、楽しかった。SNSで情報を発信し、会場に見に来てくださる方が増えて、応援が力になった。集中して臨めました」

タイムは56秒23と自らの世界記録から1秒以上遅れた。スタートから前半の感触は悪くなかったが、想定以上に低い気温から後半の伸びを欠いた。それでも、2月からスタートしたプロとしての活動の成果が、スタンドからの声援となって表れたことがうれしかった。

初めてハンドサイクルを取り入れ、心拍数のデータを練習メニューに反映させるなど、会社員アスリート時代とは違った強化法にもチャレンジしている。充実ぶりは「今は楽しいのが9割、大変が1割」という言葉に表れた。

この日、東京五輪・パラリンピック組織委員会が海外からの観客受け入れを断念すると発表したのを受け、佐藤は訴えた。「僕はリオで受けた大きな声援が力になった。だから、頑張っている選手には国に関係なく声援を送ってほしい。いろいろな国の選手を平等に応援してほしい」。世界記録を更新しての2冠はもちろん、コロナ禍の中で開催される東京パラの成功を心から願っていた。