リオ五輪男子マラソンカンボジア代表の猫ひろし(39)は、2時間45分55秒で見事完走した。

 自己ベスト記録2時間27分48秒には遠く及ばなかったが、有力選手を含む15人が棄権する中、155人中139位でフィニッシュ。完走者の中ではブービー賞だったが「最高の42キロでした」。ゴール地点ではお決まりの「にゃー!」ポーズで喜び、スタンドをあおるなど、地球の裏側でも芸人魂を見せつけた。

 12年ロンドン五輪では代表に内定していたが、「国籍取得からの期間が短い」等を理由に内定を取り消され、涙をのんだ。あれから4年、大会最終日のこの日は、紺色のキャップをかぶり本名「TAKIZAKI」のゼッケンで登場。体格の良い選手らに囲まれながらもスタートライン2列目に並び、雨の降る中、日本、カンボジア両国の期待を背負って走りだした。

 先頭集団からあっという間に離され、5キロ地点では155位の最後尾だった。しかし10キロ地点では1人抜いて154位と奮闘。被っていた帽子も投げ捨て、必死の形相で走り続けた。30キロ地点では2人を抜いて147位。35キロ地点でも1人抜いて144位に。どんなに苦しくても「絶対に歩かない」と意地を見せ、ゴール目前の40キロ地点で140位、最後は139位まで順位を上げる大健闘だった。