【リオデジャネイロ2日(日本時間3日)】日本人の母を持つ俳優生田斗真似の米国代表が、60年ぶりの日本人ワンツーフィニッシュに立ちふさがる。競泳の米国代表が2日に初練習を行い、男子400メートル個人メドレーで今季世界ランク4位のジェイ・リザーランド(20=米国)が参加した。6月の全米選手権では、前回ロンドン大会金メダルのライアン・ロクテを抜いて2位で初めての五輪。関西弁ペラペラの新鋭が、萩野公介(21)と瀬戸大也(22)を破っての金メダルを宣言した。

 生田斗真似のイケメンの目が一瞬、鋭くなった。日本人の母とニュージーランド人の父を持つリザーランドは米国代表として6日の男子400メートル個人メドレーに出場する。「(萩野)公介と(瀬戸)大也と戦うのは楽しみ。今日もプールで大也を見た」。日本人同士の金メダル争いに割って入る決意が強い。

 ロンドン大会金メダリスト、ロクテの後継者だ。6月の五輪代表選考を兼ねた全米選手権。残り100メートルまでロクテに2秒以上の差をつけられたが、あきらめない。そこから猛追し、最後50メートルでかわす。2位に入って初の五輪代表権を勝ち取った。「米国代表として負けられない。金メダルを取りたい」。強気に水泳大国の一員のプライドをにじませた。

 ニュージーランド人でシェフの父アンドリューさん(46)と日本人の母秩寿子さん(50)の3つ子の末っ子。3歳までは母の故郷の兵庫・尼崎で育った。その後、米カリフォルニアに移り住み、8歳から水泳を始めた。3年前に米国の市民権を取得すると、昨夏のユニバーシアードでは米国代表として同種目で優勝。今年は初の五輪代表と、20歳は勢いに乗っている。

 米テキサスでの直前合宿では、金メダル18個で水の怪物フェルプスから帝王学を授けられた。選手村での食事、睡眠の取り方などを教わった。「準備は万端。(200メートル個人メドレー代表の)ライアン(ロクテ)とマイケル(フェルプス)と毎日トレーニングしてきたから」と進化を実感するように言った。

 息抜きは母が好きなダウンタウン、吉本新喜劇などの日本のお笑い番組を見ること。母との会話はバリバリの関西弁だ。取材中に選手村行きのバスが到着すると「ちょっと行かなあかんので、バイバイ」と言って立ち去った。萩野と瀬戸のライバルは、関西弁を話す20歳の日系米国人になる。【田口潤】

 ◆ジェイ・リザーランド

 1995年8月24日、兵庫県尼崎市生まれ。3歳まで尼崎市で育つ。米国移住後、弱かった気管支を強くするため、8歳から水泳を始める。現在ジョージア大で経営学を専攻。昨夏ユニバーシアードの男子400メートル個人メドレーで優勝。6月の五輪選考を兼ねた全米選手権では同種目2位に入り、初の五輪切符を獲得。3つ子でケビン、ミックの兄がいる。180センチ、85キロ。