【侍の死角】奪三振も与四球も完璧なのに…後塵拝す被本塁打率/WBC調査報道〈2〉

2006年から始まったWBCは、今大会で5回目を迎えます。ここまで第1回、第2回と日本は連覇。日本以外の国はメジャーリーガーの参戦が少ないチームもあり「世界一を決める大会」としての認知度はそれほど高くありませんでした。しかし第3回大会以降は、各国代表に著名なメジャーリーガーも数多く参戦。そして第4回大会は米国が初優勝。世界的な認知度は急上昇し、今大会は名実共に各国の実力を示す戦いに近づきました。そこで、これまでの世界大会を振り返り、侍ジャパンが世界一になるためにはどういう戦い方をすればいいのか検証しました。3回連載の第2回。

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過去4大会 奪三振数すべてトップ

日本の投手力がいいとされる数字的な根拠は、奪三振率の高さが挙げられる。まず4大会で奪三振数はすべてのトップだった。

試合数の違いはあるが、日本は独走状態。第3回大会ではプエルトリコよりも2試合も少ないのにトップに君臨している。

そして4大会のトータル奪三振率(9イニングあたりの奪三振数)も…。

前章で、防御率のトータル順位は1位ドミニカ共和国、2位プエルトリコ、3位日本と紹介した。

つまり、日本は高い能力を持って三振を奪える投手がたくさんいるのに、肝心のチーム防御率には反映されていないということになる。ちなみに防御率2位のプエルトリコの奪三振率は7・40で7位だった。

その原因として一番に頭をよぎるのは「無駄な四球」だろう。打者からバンバンと空振りを奪う「豪腕」は、それほど制球力がないイメージがある。今度は与四球率(9イニングあたりの与四球数)を比べてみよう。

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プロを中心とした野球報道が専門。取材歴は30年を超える。現在は主に評論家と向き合う遊軍。
投球や打撃のフォームを分析する企画「解体新書」の構成担当を務める。