【イチローから三塁打】この迫力!巨人の「55」森﨑杏 松井秀喜から連綿と続く系譜

巨人の背番号「55」は特別な番号だ。松井秀喜さんがつくりあげた長距離砲のイメージは、いま秋広優人に受け継がれている。そして、今年から本格的に活動を開始した読売ジャイアンツ女子で、背番号「55」を委ねられたのが森﨑杏(もりさき・あん)内野手、18歳だ。イチローから三塁打を放った女子高生、と言った方が早いかもしれない。ジャイアンツ女子注目選手紹介の第1弾として、女子野球界のホームラン王を目指している彼女から話を聞いた。

野球

◆森﨑杏(もりさき・あん)2004年12月29日生まれ、愛知県出身。福知山成美高から2023年に読売ジャイアンツ女子に入団。左投げ左打ち。2022年11月に東京ドームで行われた「高校野球女子選抜VSイチロー選抜KOBE CHIBEN」の試合で、イチローから右中間に先制の適時三塁打を放った。

ゴジラというよりコンコルド?

7月7日、初めて森﨑のユニホーム姿をみて懐かしさを覚えた。

◆ジャイアンツ女子と背番号本人の希望と、こういう選手になってほしいという球団の願望を擦り合わせて決めている。「1」「3」など、男子の永久欠番制は女子にも適用されている。

背中の55、どっしりした下半身、左打ち。私が巨人担当をしていたころ、毎日みていた松井秀喜さんのシルエットそのものだった。

打席内でルーティンをこなす巨人森﨑杏(読売巨人軍提供)

打席内でルーティンをこなす巨人森﨑杏(読売巨人軍提供)

打撃もパワフルだった。遠くに飛ばすというより、打球が速い。宮本和知監督は「コンコルド淡口のよう」と表した。若い方はピンとこないかもしれないが、私くらいの年齢(58歳)には、非常に分かりやすい例えだ。

◆淡口憲治(あわぐち・けんじ)1952年(昭27)4月5日、徳島県板野町生まれ。70年にドラフト3位で巨人に入団、86年に近鉄に移籍し89年に現役を引退した。現役通算成績は1639試合、3915打数1076安打、474打点、118本塁打。打席内でお尻をぷりぷりと回すのがルーティン。見た目にも打球速度が速く、当時、世界最速の旅客航空機だったコンコルドに例えられた。

高校を卒業したばかりでチーム最年少の年代。森﨑は練習終了後、グラウンド整備を終えて取材場所の一塁ベンチに来てくれた。

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1988年入社。プロ野球を中心に取材し、東京時代の日本ハム、最後の横浜大洋(現DeNA)、長嶋巨人を担当。今年4月、20年ぶりに現場記者に戻り、野球に限らず幅広く取材中。