浅井康太(32=三重)が激闘を制して第12代「夜王」を初襲名した。中部別線で吉田敏洋(36=愛知)の先行に乗って、好ブロック連発から番手まくりで抜け出した。

 中部勢の3連覇を浅井康太が見事に継承した。深谷知広-金子貴志と別線で、「深谷に競輪を教えてやる」と宣言した吉田敏洋に前を託した。打鐘で吉田が深谷をたたくと好ガード。最終バックで後位に付けた村上義弘のまくりを好ブロック連発でさばいた。「2発目の時に接触して右のクリップバンドが外れたので、最後は左足一本で踏んだ」。それでも最終バック後方から内を突いて大外一気の強襲を演じた武田豊樹とのゴール前勝負も制して初戴冠。獲得賞金ランクも4位に上がり、KEIRINグランプリの権利も見えてきた。

 左足重心の理論に心酔して、トレーニングを貫いてきた。「左足重心で10年間やってきた集大成が出た」と、満面の笑みでカクテル光線を浴びた。今年はG1、G3で吉田と幾度も結束して絆を深めた。「8月のオールスターでは自分が前でやることもある」。吉田の前で総力戦を放つ決意を宣言した。昨夏は番手の近藤龍徳に「夜王」の座をプレゼントしたがリベンジを果たし、後半戦へフル加速する。【大上悟】

 ◆浅井康太(あさい・こうた)1984年(昭59)6月22日、三重県四日市市生まれ。朝明高卒。競輪学校90期生として05年7月8日松阪でデビュー。11年弥彦寬仁親王牌でG1初制覇。昨年のKEIRINグランプリ2015で優勝。通算865戦285勝。総取得賞金7億4826万2933円。179センチ、75キロ。血液型O。