【栗田文人・車券放浪記スペシャル】
◆12R:日本競輪選手会理事長杯
これほど晴れやかな表情は久々に見た気がする。清水で勝負だ。
「(前場所)平塚(G3)は良かったですね。暑い季節が終わって、体調を整えやすくなってきました。ここに向けてもしっかり調整できました」
どちらかといえば“泣き”が持ち味の男にしては、最上級の前向きコメント。それだけ仕上がっている証拠だろう。
並びからも自信のほどが見て取れる。盟友・松浦との間で、こんなやり取りがあったという。
松浦 俺は番手の方がいいかな。
清水 じゃ、僕が前で。
-しばらく間を置いて-
松浦 俺は前でもいいんだけど…。
清水 いや、1度自力と心を決めたので、前でやらせてください。
松浦 分かった。
清水の意志は固かった。
5着までが、準決フリーパスの2日目ローズカップに進出できるだけに、力勝負になる公算が大きい。先行濃厚な深谷は仕上がりを確かめる意味でも早めから全開で駆け、逆に新田は得意のまくりに懸けるとみる。そこで、深谷の4番手を取るのは清水か平原か古性かになるが、外めの枠の単騎2人に対し、清水はラインがある上、松浦の2番車というアドバンテージがある。一昨年のG3で(1)1<1>(6)と好走するなど「弥彦は好きですね」とバンクのイメージもいい。車間を切って深谷を援護する郡司の外を、4番手からまくり切る。
3連単は(4)-(2)(9)(3)-全。