ドームには雨風が関係ないとはいえ、ガラス窓に映る景色がどんよりして、何か重々しさを感じた初日だった。1日休んで台風一過。これですっきりとした気持ちで仕事に取り組むことができる。

まず目に付いたのは小林泰生。1予3着は価値があった。直前の松戸G3(千葉競輪70周年)を欠場してまでここにかけたかいがあった。西武園G3(決勝で落車)から続いている悪い流れも断ち切った。


そして今回取り上げるのは、2予A10Rを走る渡辺雄太。彼も西武園G3で落車し、擦過傷に菌が入り、長らく体調を崩していた。私も経験あるが、尋常じゃないほど足が腫れた。ものすごく不安な気持ちにもなった。体もみるみる痩せ、9月の松阪共同通信社杯の時には「絶対体調は良くないだろ」と素人にも分かる顔色だった。松戸では3日目に1着を取った。しかし、スピードをもらってから仕掛けるまくりはいいが、自分でスピードを上げる脚力はまだまだ不足している印象だった。

練習を終えた渡辺雄太。ヤマコウは好位が取れたら怖い存在とみた
練習を終えた渡辺雄太。ヤマコウは好位が取れたら怖い存在とみた

初日のレースは、後ろ攻めから足を使って6番手まくり。松戸の出来とは全く違う。その辺りを聞いてみると「少し重いが、前橋の3角を乗り越えたのは自信になった」という手応えだった。

10Rは山崎賢人と石塚輪太郎の先手争いだが、現状を考えると先行は山崎か。雄太は3番手を取ることができればチャンスはやってくる。まだまだ復調途上とはいえ、好位が取れたら怖い存在だ。(日刊スポーツ評論家)