シャンプーを使わずにお湯だけで頭髪を洗う「湯シャン」。あのタモリさんや福山雅治さんも実践しているといい、僕も今年3月にヴィーガン(完全菜食主義者)となったタイミングで湯シャンもスタートさせた。

メリットは頭皮に必要な皮脂や保湿成分を適度に残せるところ。アスリートには頭の先からつま先まで、栄養が必要。湯シャンを行うことで頭皮環境が整い、髪の毛にも栄養がいきわたるようになると個人的には感じている。

アスリートで湯シャンをしているのはまれなようで、僕がJリーガーを目指し始めた時から応援していただいているマザーアース・ソリューション株式会社の羽田賀恵社長も驚いていた。羽田社長にはアスリートの体にも非常に効果のあるCLAYD(クレイド)という入浴剤をずっとサポートしてもらっている。彼女も湯シャンを取り入れており、ファスティングや食事なども含めたアドバイスももらえるので、僕のチャレンジにとっては非常に心強い存在なのだ。

僕が湯シャンを始めたのは食改善のヴィーガンと同様に、少しでも自分の体にとっていいものを取り入れたかったから。こうしていろいろと発信をしていると、「あいつはもうサッカー選手として努力してない」「ゴールを取るのを諦めた」「セカンドキャリアのことしか考えてない」などの批判を受けることがある。

誤解のないように伝えておきたい。ヴィーガンにしても、湯シャンにしても、僕がチャレンジしている全てのことはピッチ内で結果を出すためだ。練習はチームが勝つためにコンセプトを持って取り組むもの。もちろんその中で個人のパフォーマンスアップをすることはある。ただ、その練習はチーム全員が同じように行う。時間もメニュー構成も同じだ。その中で、自分のパフォーマンスをあげるためには、自主練習をするしかない。

ここで間違ってはいけないのは、自主練習はピッチ内でやることだけではない。しかも、毎日できるわけでもない。その中で毎日できることで、自分のコンディションを向上させることができるのはどんなことか。それを考えてチャレンジを繰り返している。

サッカー選手でいる以上、僕はピッチ内でのパフォーマンスアップをおろそかにしない。週末の試合のためにすべてを注げる覚悟は常に持っている。これは社会人だって同じはずだ。自分が本気で取り組んでいるもののために、少しでも向上心と探究心を持って挑んでいるはずだ。

どんなこともやってみないとわからない。湯シャンがパフォーマンスアップに直結しているかどうかは数値では表せないが、少なくとも体にとって害となるものを排除できている。これは余談だが、人類の歴史から見ても、シャンプーを使った洗髪の歴史はそんなに長くないという。世界でも毎日シャンプーをするのは日本くらいで、ほかの国の平均は2日に1回程度だそうだ。シャンプーには化学薬品が含まれていていることが多く、その成分が人体に害を与えると言われている。また石油系の界面活性剤を使ったシャンプーは水質汚染の原因にもなることが分かっている。

湯シャンをすることで見えてきた、僕らが当たり前に行っている生活スタイルが環境破壊の要因になっているということ。湯シャンを始めた最初の一週間は髪もベタつき、このまま続けられるか心配だった。食事も変えたタイミングだったからこそ、変化には時差があることを理解していたが、においや見た目の清潔感を気にする日々が続いた。しかし、そんな心配もよそに2週間がたったあたりから、髪のベタつきは減り、パサつきもなくなった。シャンプーとコンディショナーを買わなくなった僕はまたひとつエコ人間へと近づいている。

「環境アーティスト」。それは自分が生きるスタイルで環境問題を表現する人のこと。40歳でサッカー選手になれた僕がこれからやっていくべきことは、サッカー選手としてパフォーマンスアップしようと取り組んだ試みを、しっかり社会にも還元していくこと。Jリーガーとして戦う残り11試合にすべてをかける。そのためにできることは生活スタイルからでも変えていく。(J3、YSCC横浜FW)

0円Jリーガーとして奮闘するYS横浜のFW安彦(左)
0円Jリーガーとして奮闘するYS横浜のFW安彦(左)