日刊スポーツ評論家の秋田豊氏(47)による「熱血秋田塾・キャンプ編」(随時)の第2弾は、昨季2冠を制したセレッソ大阪の宮崎。27日に現地を訪れ、東京Vのコーチ時代に指導したFW杉本健勇(25)に注目した。当時と比べ「スケールのでかい選手になってきた」と感心。6月のW杯ロシア大会に向け日本代表に「必要な選手」と評価した。

 昨年末に左足首を手術した杉本選手だが、その影響はなさそうだ。むしろけがの功名か。いい休みがとれて、いいシーズンを迎えられそうな状態に見えた。

 昨季は得点ランク2位に終わったとはいえ22得点。何度も「俺がやらなきゃ」という言葉を聞いて東京V時代はそういうタイプじゃなかったのに、と思い返した。練習開始20分前に自分が引っ張り出し、ヘディングの練習をやらせた。速くて高く、足元の技術もある。周りは「すごい」と思う能力に自分だけは気づいていない。まさに「未完の大器」という言葉がふさわしかった。

 選手はメンタリティーひとつで大きく変わる。尹晶煥監督がうまく引き出したのだろう。杉本選手だけでなく、C大阪は才能のある選手がそろっていた。そのうまい選手が、頑張ることができるようになった。それが無冠から2冠を獲得できた大きな要因に思う。

 W杯の日本代表にもちろん必要な選手。代表で求められるのは、得点しかない。大迫選手はポストプレーにはたけていても、そこから得点につながっていない。杉本選手は真のストライカーとして、得点を求めていくべき。Jリーグでも、常に得点ランク1位を保つぐらいであってほしい。

 DF目線でも難しいFWになってきた。高さや足元、特徴が偏っていればそこを抑えればいいが、杉本選手はプレーの幅が広く、それぞれのレベルも高い。ようしゃべれるようにもなったしね。スケールの大きな選手になってきている。(日刊スポーツ評論家)