徳島ヴォルティスの32歳MF岩尾憲が、4日の清水戦でJ1初ゴールを挙げた。1-0の後半9分、PKをGKの動きを見てゴールど真ん中に蹴り込んだ。

出場選手の平均年齢がリーグ最年少の25歳という若いチームにあって、在籍6年目のボランチはチームに不可欠な存在。32歳11カ月17日でのJ1初ゴールは、日本人選手では歴代10番目の年長記録となった。チームもJ1で初となる3点差勝利を飾り、初の2連勝。ここまで2勝2分け3敗の9位と大健闘だ。


◆日本選手の年長J1初ゴール記録

MFラモス瑠偉(V川崎)36歳5カ月26日 93年※

DF津田 琢磨(甲 府)35歳6カ月6日 16年

MF木村 和司(横浜M)34歳11カ月11日 93年※

DF高杉 亮太(長 崎)34歳7カ月5日 18年

DF山本 英臣(甲 府)34歳1カ月28日 14年

MF桑原 裕義(新 潟)33歳10カ月18日 05年

MF水沼 貴史(横浜M)33歳5カ月20日 93年※

DF勝矢 寿延(磐 田)33歳2カ月17日 94年

DF藤山 竜仁(東 京)33歳2カ月14日 06年

★MF岩尾 憲(徳 島)32歳11カ月17日 21年

DF竹内  彬(名古屋)32歳9カ月15日 16年

DF松田  浩(広 島)32歳8カ月20日 93年※

DF実好 礼忠(G大阪)32歳5カ月28日 05年


岩尾はJ2通算276試合で23得点を記録しているが、J1では出場14試合目での初ゴール。32歳以上でJ1初得点をマークした選手リストを見ると、Jリーグ初年度の93年に記録したMF木村和司らを除けば、いぶし銀のプレーが光る守備の職人が並ぶ。岩尾も中盤で相手の攻撃の芽をつみ取るデュエル(球際の攻防)の強さが目を見張るが、正確なパスでチームの攻撃にリズムを生み出すなど攻守両面での活躍が光る。

最近のJ1はJ2で実戦経験を積んだ選手が「個人昇格」して活躍するケースが目立つようになった。そんな中でも岩尾はJ2でクラブ歴代最多202試合に出場し、チームとともにJ1昇格を勝ち取った。新型コロナウイルスの影響でダニエル・ポヤトス監督がベンチ入りできない状況だが、そのプレーはまさに「ピッチ上の監督」。今季も開幕から全試合に出場し、若いチームを引っ張っている。

【石川秀和】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「データが語る」)