日本が五輪では初めて1次リーグ3連勝を達成し、ベスト8に進んだ。フランスは18年ワールドカップ(W杯)ロシア大会で優勝した屈指の強豪国だが、その下の世代にあたるチームに対し日本は攻守に圧倒した。元日本代表FWで日刊スポーツ評論家の永島昭浩氏(57)は、MF久保建英(20=Rマドリード)らタレントがそろう2列目の選手に負けじと、上田綺世(22=鹿島アントラーズ)らFW陣のここにきての充実を最大の収穫とした。

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故障明けで過去2戦は途中出場だった上田が、フル出場で何より3点に絡めたのが大きい。ボールを呼び込む懐の深さ、常に相手と駆け引きしながらシュートまで持っていくストライカー特有のセンス。くさびに入り、仲間にボールを落とし、裏へも飛び出す。

これは相手からすれば、本当に嫌な選手だ。的確なポジショニングと前線からの守備が武器の林とは特長が違い、準々決勝はどちらも先発で使える。この試合、途中出場の前田がFW3人の中で初得点を挙げるなど、短期決戦の中でFW陣に活気が出るとやはり勢いが違う。

森保監督とすれば、故障明けの冨安を初起用し、多少の不安はあったはずだ。それでもノーミスでフル出場できたのは収穫。累積警告で次戦出場停止となる酒井の代わりに橋岡もメドが立った。各選手が攻守ともに結果を出し、監督に次戦以降の道筋を示した。相手を戦意喪失に追い込むほど圧倒できたのは、日本のチーム力以外の何ものでもない。

メダルが見えたと言いたいところだが、日本が準々決勝でニュージーランドに勝てる保証はない。ただ、この完璧なフランス戦のプレーをもう1度出せば、おのずとベスト4は近づくはずだ。(日刊スポーツ評論家)