元日本代表FWで日刊スポーツ評論家の永島昭浩氏(57)は、日本がメダルを逃した原因について、最低でも1失点で切り抜けないといけなかった前半の守備を挙げた。課題だったセットプレーで2失点目を食らったことで、スイッチを入れ直すタイミングを逃したと分析した。

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日本の敗因は試合の立ち上がりがすべてだったかもしれない。必死に戦おうとしたが、気持ちとプレーがかみ合わない。悪いなりに無失点で切り抜けなければいけないが、苦手のセットプレーで喫した2失点目が大きなダメージになった。

せめて0-1で前半を折り返してほしかったが、PKで与えた1失点目を含めて、重い失点が重なった。これでスイッチを入れ直すタイミングを逃した。

メキシコも同じ条件だったとはいえ、日本の疲労度はより濃かった。特に全6戦で先発した遠藤と田中のボランチは、攻守のつなぎ役で奔走してきた。その遠藤が失点に絡む場面が目立ったが、これは責められない。

むしろ問題は攻撃時の効率の悪い動きか。疲れている割にサイドに3、4人が集まりすぎてゴール前に人がおらず、速攻を浴びた。1次リーグでは選手の距離感が適度に保たれ、共通のアイデアがゴール前で発揮されていたのに、この3試合は少なかった。

選手の悔し涙は責任感の証しだろう。1-3で負けたが、メキシコとの力の差はスコアほどなかった。この悔しさは9月からのワールドカップ(W杯)アジア最終予選、来年のW杯カタール大会、そして今後のサッカー人生で晴らしてほしい。(日刊スポーツ評論家)

日本対メキシコ メキシコに敗れピッチで涙する久保(撮影・河野匠)
日本対メキシコ メキシコに敗れピッチで涙する久保(撮影・河野匠)