日本がまたしてもPK戦の末に「8強の壁」に阻まれた。元日本代表FWで日刊スポーツ評論家の永島昭浩氏(58)が分析する今大会の収穫と、4年後に向けた課題とは。

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日本のW杯が終わりを告げた。「個の力」という意味では、何人かの選手が、自分の持っているものを表現することはできたのではないか。1次リーグのドイツ、スペイン戦。私の希望は引き分けでしたが、2試合ともW杯優勝経験国に逆転勝ち。紛れもなく日本は、チームも個人も強くなっていることを世界に証明した大会だった。

クロアチア戦はこれまでの3試合とは違って滑りやすくパススピードの上がるピッチ。横幅を広く使い、ボール保持率を上げていれば、延長やPK戦にいかない戦い方ができたようにも感じる。大会を通じて交代枠をうまく使い、ハーフタイムや後半途中からスイッチを入れるプランがあったが、プラスαで試合の瞬間、瞬間で変化に対応できる戦い方も必要だろう。

決勝戦までを考えれば、W杯は中3日のペースで7試合を戦うことになる。疲労がたまる中で、相手に合わせるばかりではなく、やはり自分たちのスタイルを持たないと、長丁場の大会を戦い抜くことはできない。その点は4年後への課題になる。

史上初の8強には届かなかったが、多くの人が日本代表を思い、勝利を信じ、祈ったことに価値がある。日本中に「サッカー愛」が広まったことに、私からも感謝したい。(日刊スポーツ評論家)

日本対クロアチア 試合後、サポーターにあいさつする森保監督(撮影・横山健太)
日本対クロアチア 試合後、サポーターにあいさつする森保監督(撮影・横山健太)