ルヴァン杯が16日、Jリーグは21日に開幕し、新シーズンが本格化する。今年は東京オリンピック(五輪)もあり、日本サッカー界にとって重要な1年になる。セルジオ越後氏に日本代表や各選手、Jリーグなどについて、現時点での問題点や今後への期待を、3回連載で語ってもらった。

38歳の元スウェーデン代表イブラヒモビッチがACミランに復帰し、さっそく得点も挙げている。まさに「お金を払ってでも見に行きたい選手」だ。そういう選手がJリーグに何人いるだろう? 

今オフは移籍ニュースが乏しい。資金力があるのは神戸くらいだが、例年大物を加入させられるのは欧州シーズンが終わった夏場から。長年安定した力を保ってきた鹿島も補強は物足りないし、浦和はすでに「3年計画」と“逃げ”を打っている。

移籍会見でG大阪のユニホーム姿を披露した昌子
移籍会見でG大阪のユニホーム姿を披露した昌子

そんな中、注目しているのはガンバ大阪だ。昌子やパトリックらを獲得し、移籍が取りざたされた三浦も残った。キャスト的にたくましくなったので、暴れてくれることを期待したい。理論派で“黒板サッカー”の宮本監督にとっても、正念場のシーズンになるだろう。同時に昇格組の柏レイソルも楽しみだ。昨季J2最終節で京都から8得点を挙げたオルンガがJ1でどうなるか、見てみたい。その身体能力や技術は、興味深いよ。

サポーターにあいさつするオルンガ
サポーターにあいさつするオルンガ

Jリーグ全体的に層が薄くなってきている。オフに最もメディアに露出しているのがカズ(横浜FC)というのが、スター不足の象徴だ。東京五輪のOA(オーバーエージ)枠候補として、常に大迫(ブレーメン)の名が取りざたされるのも、五輪世代の小川(磐田)や上田(鹿島)らFW勢のリーグ戦での活躍が足りないから。以前は高校選手権で活躍し、J1入団後すぐに台頭する即戦力がいたものだが、最近はそういう例が少ない。

昨季J1で途中まで独走した東京や、3連覇を狙った川崎Fは故障や移籍による穴を埋められずに、失速した。それが層の薄さ。優勝した横浜は資金はそれほど使わなかったものの、シーズン中にうまく穴を埋める補強ができた。圧倒的な戦力を誇るクラブがない中、今季も状況に合わせた迅速な対応、マネジメント力が鍵を握るかもしれない。(おわり)(日刊スポーツ評論家)