日刊スポーツ評論家のセルジオ越後氏(76)が6月の4試合を振り返り、W杯1次リーグを切り抜けるための極意を口にした。

キーワードは超守備的戦術。10人で守り倒し、逆襲では両サイドから前線のFW1人に攻撃を任せる究極な選択しか勝つチャンスはないと読んだ。6日のブラジル戦と情けない14日のチュニジア戦を終え、W杯ではまともな戦いは挑めないと踏み、わずかな可能性を探った。

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4試合の総仕上げがこれか。前半2度のチャンスを南野と鎌田が空振りするから、こういう結果になるんだ。決定力不足を何度叫べば解消するんだ。フィジカルの強い相手にまともに勝負したら勝てないことが分かった。これが収穫かな。W杯は全員で守り倒すしかないんじゃないのかな。

W杯本大会まで半年を切り、最終予選と今回の4試合を終えて、現段階でのメンバーはこれだね。まずGKは権田、DFラインは4バックで左から長友、吉田、板倉、酒井かな。冨安が復調したら、板倉をボランチに上げる選択肢もあるね。伊藤はメンバーに入るには、セットプレーで点を取るとか、精力的な上げ下げランニングで攻守の能力とスタミナを証明しないと難しいね。

中盤3人は、真ん中の遠藤を軸に、左に田中、右に守田だな。ドイツやスペインと対戦する時は、田中か守田の代わりに板倉が入るだろうな。勝ちにいく試合では、鎌田や原口もあるだろうけれど、これはあくまでも攻撃のオプション。先制点を許さない限り、攻撃的に戦うことはないだろうね。

前線は左が南野で右が伊東だな。伊東はほぼ当確だろうけれど、南野は来シーズンに所属クラブで結果を残さないと、代表でスタメンの保証はないな。伊東の控えとして堂安がいるし、左はスーパーサブとして存在感を示した三笘がいる。久保はメンバー当落線上にいるだろうけれど、今の実力では森保監督が試合で使う気にはならないだろう。

最も難しいのが中央FWだな。大迫が復調しても使えるかどうか。W杯で強豪2チームに勝ち点を取るためには、ブラジル戦のように10人で守ってFW1人残してなんとかDFラインの裏に抜け出すことに期待するしかない。この日も1トップは前線で孤立したけれど、孤立を想定内と思って戦うしかないね。大迫は裏に抜けるタイプじゃないし、浅野が1番手かな。

森保監督がW杯でどう戦うか。ブラジル戦とチュニジア戦で青写真はできたんじゃないか。パラグアイ戦とガーナ戦は、相手のコンディションが悪すぎて参考にならないしね。相手両サイドが上がった隙、特に後半に右の伊東、左の三笘の突破からFWにつなぐしかないかな。基本は、日本の長所を出すより、相手の長所を消すサッカーに徹するしかない。これもサッカーの戦術だから、恥ずかしがることはないんじゃないの。残念だけれど今の実力だと、仕方ない選択だな。

(日刊スポーツ評論家)

日本対チュニジア 後半、ファウルでチュニジアにPKを献上し、顔を覆う吉田(左から3人目)(撮影・横山健太)
日本対チュニジア 後半、ファウルでチュニジアにPKを献上し、顔を覆う吉田(左から3人目)(撮影・横山健太)
日本対チュニジア チュニジアに敗れイレブンを集めてミーティングを行う森保監督(後方左)(撮影・加藤哉)
日本対チュニジア チュニジアに敗れイレブンを集めてミーティングを行う森保監督(後方左)(撮影・加藤哉)