U-20(20歳以下)W杯韓国大会1次リーグのウルグアイ戦で負傷したジュビロ磐田FW小川航基(19)は、今季中のプレーは絶望的になった。1日、診断結果がクラブから発表。左膝前十字靱帯(じんたい)損傷と外側半月板損傷で、練習合流までは手術後約6カ月の見込になった。

 心中は図りしれない。私は、今年から磐田担当になったが、小川航の努力を重ねる姿を見てきた。日々、居残りでシュート練習をし、誰もいなくなったグラウンドを黙々と走っていた。その成果で、プロ2年目の今季は公式戦10試合出場で4得点。4月26日のルヴァン杯東京戦では、プロ初ゴールからハットトリックも達成した。以前から、小川航が口にしていた「ジュビロでゴールを決めて、勝利に貢献したい」という思いが、ようやく形になり始めた直後の大けが。サポーター、スタッフもショックを受けているが、本人が一番無念に違いない。

 ただ、現実から目は背けられない。復帰までの道のりは長く苦しいものとなるが、私は小川航なら乗り越えると信じて疑わない。

 「高校NO・1ストライカー」の評価で入団した昨季、公式戦の出場は天皇杯も含めて3試合。1本のシュートも打てず、リーグ戦で出番が訪れることはなかった。代表ではエースとして活躍する一方で、チームでは結果がない日々。本人は「本当に悔しくて、自分は必要とされていないんじゃないかと思ったこともあった」と振り返る。

 それでも、居残りシュート練習を続けた。心が折れかけた時にも、継続することで結果が出てくる。その成功体験が、今回のリハビリにも生きてくるはずだ。

 大会期間中にチームを離脱することが決まった28日、小川航はSNSにこう心境をつづっている。

 「ここで離脱というのは、本当に本当に悔しいです。人生をかけたすごく大きな大会でした。しかし僕はもう切り替えました!! 僕はたくさんの人に支えられてサッカーをしているんだなと感じます。ここを乗り越えてレベルアップして必ずまた代表という舞台に帰ってきたいと思います!そして東京オリンピックで絶対活躍します!! リハビリ頑張ります! サッカー大好きです」

 心は全く折れていない。私は近くで、彼の復活ロードを見ていく。ゴールを決め、紙面を飾ることをイメージしながら。

 ◆前田和哉(まえだ・かずや)1982年(昭57)8月16日、静岡市生まれ。小2からサッカーを始め、高校は清水商(現清水桜が丘)に所属。10年入社。昨年までは高校サッカーを取材し、今年から磐田担当。