世界的ストライカーの元ドイツ代表FWルーカス・ポドルスキ(32)が7月6日に来日し、ヴィッセル神戸に加入してから約1カ月半。元日本代表ハーフナー・マイク(30)も加入し、FWの競争が激しくなる中、小川慶治朗(25)は第23節終了時点の直近3試合で先発した。ポドルスキのデビュー戦7月29日大宮戦でも先発出場した。

 小川は兵庫・三田市生まれで、神戸の下部組織出身だ。18歳3カ月16日というクラブ最年少得点記録を持つスピードスターが、12年に神戸のエースの背番号「13」を背負ってから5年。昨年は4月10日福岡戦で右膝内側側副靱帯(じんたい)損傷、9月4日のルヴァン杯準々決勝第2戦浦和戦で右第2中足骨を骨折し、手術。今年に入ってからも3月11日の仙台戦で左鎖骨を骨折して出術するなど、相次ぐ負傷に悩まされた。

 だが、懸命にリハビリし、6月4日の札幌戦で今季初得点を挙げた。「やっと復帰したという気持ち。FWは点を取ってなんぼ。(自分の中で)点を取るまでは復帰してないという位置づけだった」と昨年3月19日G大阪戦以来、1年3カ月ぶりの得点に胸をなで下ろした。

 6月8日の「神戸開港150年記念ユニホーム」発表会見では、ピンクと紫を基調としたユニホームを着用して登場し、「ポドルスキより僕の方が似合いますよ!」と会場の笑いを誘った。そして、ポドルスキの来日直前には「それぞれの良さがある。練習から競争があるけど、自分の良さで勝負したい」と負けん気の強さを見せた。「最後まで諦めずにやるのが(自分の)プレースタイル。そこがチームの結果につながると思う」と世界的スーパースターに気後れせず、ピッチを駆け抜ける。

 今年3月に結婚し、守りたいものが増えた。「やっぱり奥さんが1番喜んでくれると思うので、ゴールを狙います」。今季はまだ1得点で、家族を喜ばすためにもさらなる活躍が必要だ。第23節が終了し、ポドルスキはデビュー戦の2得点のみ、ハーフナーは無得点と、得点力不足は解決できていない。ネルシーニョ監督(67)は16日に退任し、田中健一社長(48)も9月に退くことが決まった。11位に沈む神戸が浮上するためにも、背番号「13」の覚醒を期待したい。


 ◆中島万季(なかしま・まき)1988(昭63)年8月11日、鹿児島県薩摩川内市生まれ。高校野球やアメリカンフットボール、高校ラグビーなどを経験し、4月からサッカー担当。