田嶋政権2期目が決まった。日本サッカー協会は1月27日に評議員会を開き、全会一致で現職の田嶋幸三会長(60)が次期会長として承認された。3月24日の評議員会&理事会をへて、正式スタートする。

 単独立候補で投票はなく、「異議ありますか?」の問いに全員が沈黙。「全会一致で決まりました」となった。

 会議後、岩上和道事務総長は「全会一致です」と報道陣に説明した。しかし会議中に、ちょっとした抵抗があった。田嶋会長が承認された後、評議員の1人で愛媛県サッカー協会の豊島吉博会長が手を挙げた。

 「マニフェストにはすばらしいことが書いてあるけれど、いつまで達成するかが明記されていない。例えば、数ある目標の中で、今年の重点目標はこれとこれで、1年かけて見通しを付けて、来年まで実行するとか。もっと具体的な時期を明確にしてください」

 実際、田嶋氏が2年前に会長選に臨む時に掲げたマニフェストは、シーズン移行も含め、達成率が低い。まだ2年で、育成など、成果が表れにくい項目もあるし、達成度を数字で表すのは難しいが、印象としては、必ずしもいい2年間を過ごしたとは言い難い。

 豊島氏の発言で、会議室は異様な雰囲気に包まれた。誰もが言いたいことだが、切り出せない。なぜならサッカー界には現在、田嶋氏は自分の意見に逆らい、自分の進む道に歩調を合わせない人は排除してきたというイメージがあるからだ。その質問に田嶋会長は「3月の評議員会までに、具体的な時期などをちゃんと出します」と答えた。

 現体制で、副会長は4人。しかし4人とも非常勤で、専務理事も週1、2回しか日本協会には出勤しない。実質、田嶋会長がほとんどの案件を抱えている状況だ。評議員の中には、今の体制に不信感を抱く人が多い。しかし公式の場で、その気持ちを素直に発言しない。ある評議員は「うちの県協会に不利益があるかもしれないから」と話す。

 もし、日本サッカー界の最高承認機関の評議員会に、そういう空気が実際に流れているのであれば、田嶋会長はまず、その風潮から変えていかないといけない。豊島氏に発言した理由を聞いた。

 「今回の意見はそんなに批判的なものではない。ただ、オフィシャルの場できちんと言うことが大事だと思ったから」

 3月の評議員会では、もっと各地方の代表者が、積極的に意見が言えるような、生き生きとした会議になることを望む。【盧載鎭】

 ◆盧載鎭(ノ・ゼジン)1968年9月8日、韓国ソウル生まれ。88年に来日し、96年入社。約20年間サッカー担当で、2年間は相撲担当(13場所)。