18年のJリーグが始まった。3月11日時点で、J1では広島が開幕3連勝。ちなみにお隣の岡山も山口もJ2で3連勝。さらに、J3鳥取も開幕戦を白星スタートし、ここまで中国地方は10戦10勝と絶好調だ。

 一方、寂しいのが関西勢。J1のC大阪、神戸が3戦勝ちなし。G大阪に至っては3連敗。J2の京都も3戦未勝利だ。唯一の勝利はJ3のG大阪U-23だった。

 11日、J3開幕戦でG大阪U-23は盛岡とホームのパナスタで対戦。序盤に2失点するという苦しい展開だったが、後半から一気に流れを変えて逆転した。ユース出身2年目MF食野(めしの)の2ゴールと、大津高(熊本)出身のプロ3年目FW一美(いちみ)の得点で、劇的勝利。公式戦17試合勝ちなし、開幕から公式戦4連敗とトップチームが苦境に立たされる今“ヤングガンバ”が意地を見せた。

 そんな中、背番号18をつけて先発したのが東京五輪世代のFW高木彰人(20)。ユース出身の3年目で、FWが主戦場ながらサイドやトップ下もこなす。高校2年でトップチームの公式戦に出場可能な2種登録され、14年4月16日のナビスコ杯(現ルヴァン杯)鳥栖戦で先発。宇佐美の記録(17歳14日)を超えるクラブ史上最年少公式戦出場記録の16歳8カ月12日でデビューを果たした。

 下部組織時代から期待されてきた点取り屋。トップ昇格の同期はDF初瀬、MF市丸と1学年下ながら飛び級で昇格したMF堂安だ。高木も各世代別代表にも選出されてきたが、U-20W杯出場権を懸けた16年U-19アジア選手権バーレーン大会では負傷で招集されず、同期3人の活躍を日本から見守った。

 昨年のU-20W杯韓国大会でも、同期3人が順当に選出される中、高木は一時落選。その後、負傷者の離脱が出て、追加招集でメンバー入りを果たした。稲本や宇佐美、堂安らを抜くクラブ史上最年少公式戦出場記録を持つ男だが、何度も悔しい思いを味わい何度も壁にぶち当たってきた。

 昨季の長谷川前監督体制ではU-23ではなくトップチームに同行していた。負傷者が相次いで序盤はチャンスも回ってきた。だが、結果を残すことはできなかった。「何とかしないと。(長谷川)健太さんに言われたことは全部できるようにしよう」。

 もともとはDFの背後を狙って抜け出し、ゴールを奪うタイプのFWだったが、長谷川前監督からはしっかりとボールを収めるポストプレーを要求された。連日居残りでポストプレーを練習。今年1月の森保ジャパン公式戦初陣となった、U-23アジア選手権中国大会に出場したU-21日本代表に選出され「ポストプレー、少しだけできるようになった」と練習の成果を感じていた。

 それでも、今季はトップチームに絡めず、U-23でスタート。高木にとって新たな試練の時となった。だが、壁ができる度に愚直に向き合い乗り越えることができるのが高木。現在の逆境をバネにして、不調のトップチームを救う存在になってくれるはずだ。【小杉舞】


 ◆小杉舞(こすぎ・まい)1990年(平2)6月21日、奈良市生まれ。大阪教育大を卒業し、14年に大阪本社に入社。1年目の同11月から西日本サッカー担当。担当はG大阪や神戸、広島、名古屋、J2京都など。