コンサドーレ札幌ミハイロ・ペトロビッチ監督(60)はデータに頼らない。7月21日の練習後の囲み取材で話題に挙げたのが、試合での走行距離やパス回数などのデータについてだった。「数字だけが一人歩きしがちなのが最近のサッカーの環境。大事なのは数ではなく、その中身がどうだったかだ。やみくもに走るなら効果はゼロ。大事なのは相手に嫌な走りができるか」と主張した。

 自身の目を信じる。チームでは練習中に選手1人1人に機器を取り付け、走行距離を計測しているが「私は自分で見ればわかる」。もちろん、完全に否定するわけではない。「そういうものを作って売っている人たちがいて、それもビジネス。そういう人たちを煙たがれば、私は反感を買うでしょう。もし『その機械はいらないよ』と言えば『君、来年はいらないよ』と言われるかもしれない」と冗談を交えて話した。数字に表れない部分を見抜く力が、監督として求められていると考える。

 試合の記事を書く上でも、数字に頼り過ぎるなというメッセージだったのかもしれないと、受け取っている。シュート数や支配率など、わかりやすい数字に注目しがちだが、パスやドリブルなど、その1プレーがいかに効果的だったか、そんな視点で試合を見ていきたい。

 ◆保坂果那(ほさか・かな)1986年(昭61)10月31日、北海道札幌市生まれ。13年から高校野球などアマチュアスポーツを担当し、16年11月からプロ野球日本ハム担当。17年12月からコンサドーレ札幌担当。