JFLで首位をキープする、いわきFCのJリーグ参入が刻一刻と近づいてきた。22試合を終えて14勝6分け2敗の勝ち点48で、得点40、失点20はともにリーグ3位と攻守で安定。19日の直接対決では2位ホンダFCに敗れたものの、勝ち点4をリードし、残り10試合を迎える。JFLからJ3に「昇格」するにはリーグ4位以内が第1条件。その上でJリーグ百年構想クラブ(Jリーグ入会を目指すクラブ)の中で上位2チームになることが求められる。

JFLで百年構想クラブの認定を受けているのは、いわきFC、ラインメール青森、ヴェルスパ大分、鈴鹿ポイントゲッターズ、FC大阪、ヴィアティン三重、奈良クラブの7チーム。第23節を終えての順位表では5位大分(2試合未消化)が勝ち点34、6位青森(1試合未消化)が同33、7位鈴鹿が同32、8位大阪(1試合未消化)が同31、10位三重が同28、13位奈良が同25。百年構想クラブ内の順位で示すと、首位いわきFCは2位大分とは勝ち点14差、3位青森とは同15差、4位鈴鹿とは同16差で、逃げ切りが現実味を帯びてきた。

JFL参入初年度の昨季は1年でのJリーグ行きを狙うも、7位に沈み、悲願はお預けとなった。09年にJ2湘南ベルマーレ(現J1)の主力としてJ1昇格を経験した田村雄三監督(38)は「去年の悔しさや経験があるから今年があると思っている。私もクラブも覚悟を持って挑んでいます」。目標達成へ「これから先は簡単な試合は1つもない。ここから目に見えないプレッシャーにどんどん襲われるのかなとかいろんなことを思いますが、シンプルに目の前の試合を謙虚に貪欲に1戦1戦を大切に全員で戦いたい」と力を込める。

いわきFCを運営する、いわきスポーツクラブは国内でスポーツブランド「アンダーアーマー」を展開する株式会社ドームの傘下で、全面的なバックアップを受ける。JFLは仕事を続けながらサッカーに打ち込む選手が大半だが、全員がプロ契約。さらにJリーグでもトップクラスのトレーニング環境を有し、それが好成績にも結びついている。いわきFCが東北7番目のJクラブとなり、Jリーグを席巻する日も近そうだ。【山田愛斗】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)

開幕戦で勝利し歓喜するいわきFCの選手たち(2021年3月14日撮影)
開幕戦で勝利し歓喜するいわきFCの選手たち(2021年3月14日撮影)