「オシャレは足元から」という言葉を耳にするが、それほど靴というのは大事なもの。サッカー選手にとっても靴(スパイク)選びは重要に違いない。スパイクといっても選び方、履き方、ヒモの結び方…。プレーのパフォーマンスに影響するだろうから、こだわりは選手それぞれにあるだろう。6月上旬、J2アルビレックス新潟のスタッフとの会話の中からDF千葉和彦が左右で違うサイズのスパイクを使用しているという情報をゲット。さっそく千葉本人に直撃してみた。

「もう4、5年になるかな~。(J1)広島の最後あたりから始めてました」と話し始めた千葉。現在、スパイクのサイズは右足が27.5センチで、左足は28センチを使用。ボールを扱うことが多い利き足の右はジャストサイズで、軸足となる左はゆったりサイズを好んでいるそうだ。選手のウエアやスパイクの管理を行っているエキップメントマネジャーの玉川皓太さん(29)は千葉から「左(スパイク)の方の皮をできるだけ伸ばして欲しい」と要求されているとのこと。何というこだわりっぷりだ。

左右非対称の理由は、左足爪の内出血を防止するため。プレーエリアはセンターバック。相手よりワンテンポ動きが遅れただけで失点に直結する重要なポジションだけに、小さいケガにつながるリスクのあるものは徹底的に避けるようだ。ただ、ゆったりサイズではパスを送る時に軸足がスパイクの中でずれないのか? 対人プレーの時に踏ん張れるのか? という疑問が生まれたが「全く問題ない。しっくりきてますね!」と千葉は言い切る。

6月19日のホーム秋田戦の試合前には、5月15日アウェー町田戦で達成したJリーグ通算400試合出場セレモニーが行われた。「37までやれたということは40歳ぐらいまでやれるのかな~とか、今は何となくだけど思う。500~600試合はJ1アルビで達成したい」。日々の練習開始前には2時間早くクラブハウスに入り準備を始め、練習後は翌日に疲れを残さないためケアを怠らない。ホーム勝利後に定番となっている選手を巻き込んでのパフォーマンスや、自身のYouTubeチャンネルなどで笑いを提供するムードメーカーでもあるが、見えないところでの努力や準備は、さすがとしか言いようがない。

リーグ後半初戦を白星スタートさせ、首位をがっちり守った新潟は6月26日、アウェーで2位横浜FCとの上位直接対決に臨む。6月21日に37歳となったばかりのベテランが最終ラインでどんな守備を見せ、どんなパスで攻撃のスイッチを入れるのか。「(自身)今季初ゴールは0・5センチでかい左足かな~」と大笑いする千葉の今季初ゴールとチームの3連勝を願いながら、お気に入りの靴で取材に向かおうと思う。【小林忠】

◆小林忠(こばやし・ただし)1985年(昭60)6月26日、新潟県阿賀野市(水原町)生まれ。水原サッカー少年団で競技を始め、北越高2年時に全国高校選手権出場。保育教諭としてこども園に12年半勤務した後、ひょんなことから19年途中に入社。20年からJ2新潟担当。