高校サッカーは8日、国立で準決勝2試合が行われる。3年ぶり2回目の優勝を目指す流通経大柏(千葉)は、ケガ人が続出。7日には、主将で新潟に入団が内定しているセンターバックDF増田繁人(3年)が右足首を捻挫して練習をリタイアした。このチームのピンチを救うのは、泥臭い守護神・GK緒方大樹(3年)。残り2試合を無失点に抑え、優勝へ導く。

 いざというとき頼りになるのは、守護神・緒方だ。3回戦の前橋育英戦でPKを2本止め、一躍ヒーローになった。泥臭いearthy(アースィー)なプレーで、ゴールを守る。

 この日、練習中にDF増田がリタイア。どことなくぎこちない空気が漂う中、全体練習後、緒方はもくもくと本田監督が蹴る容赦ないPK熱血練習を約10分間、みっちりと受け続けた。

 常に全力プレー。ボールに飛びついては起き上がり、自分でボールを拾う。何度も繰り返し、土にまみれた。「足の位置の確認などをしました。体は軽いし、疲れもありません」。

 チームはケガ人を抱える。初戦でDF中西が左大腿(だいたい)骨を骨折。MF吉田は練習中に左足小指骨折。この日、今大会全3試合フル出場中の主将・DF増田が右足首を負傷し準決勝は欠場が濃厚だ。緒方は「GKは一番後ろにいる。フィールドの選手以上に責任感を強く持っています」と、やる気満々だ。

 ひたむきにはい上がってきたearthyな努力家だ。身長は178センチも、持ち味は超高校級のキック力。相手ペナルティーエリアに迫る約80メートルは飛ばす。帝京中時代にはGKコーチが不在で独学。高校で基礎から学んだ。稲垣GKコーチは「言ったことをすぐに表現できるし、努力している。持ち味のキックに加えて、精度が加わった」。

 昨年9月、元U-17(17歳以下)日本代表のGK松沢から正GKの座を奪い、ここまでたどり着いた。本田監督も緒方に「基礎ができている。この大会で乗っているし、動きもいい」と期待を寄せる。

 3年ぶり優勝へ、GK緒方を中心に団結して国立で戦う。「あと2試合無失点で、優勝したい。目標はプロ選手になって、代表に入る」。流通経大柏には泥臭く、頼もしい緒方が、いる。【保坂恭子】