<高校サッカー:市船橋4-1水戸啓明>◇3日◇3回戦◇フクアリ

 「イチフナの暴れん坊」が目覚めた。全国高校総体との2冠を狙う市船橋(千葉)が、エースFW石田雅俊(3年)の今大会初得点と2アシストの活躍で水戸啓明(茨城)に快勝し、8強に進出した。準々決勝は5日に行われる。

 大暴れの真骨頂は、1-0の前半35分。左クロスに、石田がダイビングヘッドで飛び込んだ。今大会初ゴールに、叫びながらガッツポーズを繰り出す。勢いは止まらない。後半7分にはゴール前で強烈なシュートを打つと、こぼれ球を味方が決めた。14分には絶妙なワンツーでMF室伏の得点もアシスト。全4得点に絡む活躍を「気持ちでプレーしました」と振り返った。

 J2京都入団が決まり、昨夏の総体優勝の原動力となった実力者。しかし、ヒートアップするとブレーキが利かない悪い癖がある。朝岡監督も「小学生がそのまま高校生になった感じ」と苦笑いで言う。昨年10月のプリンスリーグ東京戦ではラフプレーで一発退場。12月のプレミアリーグ入れ替え戦では仲間にかけた言葉が主審への暴言と勘違いされ、退場処分を受けた。石田は「心は熱く、頭は冷静に、という感じでやってます」と言うが、この日も後半27分にペナルティーエリア内で故意に転倒したと判断され、イエローカード。直後にベンチに下げられた。

 この日は父理(さとる)さん(43)が単身赴任先の岡山から駆けつける予定だったが、東京・有楽町での火災の影響で新幹線に缶詰めとなり、観戦できなかった。「今日は残念だったけど、次は父親の目の前で勝ちたい」と石田。明日5日の準々決勝・京都橘戦も勝ち、2年前にプレーした国立への切符を家族に届ける。【由本裕貴】

 ◆石田雅俊(いしだ・まさとし)1995年(平7)5月4日、千葉・八千代市生まれ。6歳からサッカーを始め、小5で愛知に転校後、中1から名古屋ジュニアユース入りし、全国優勝を経験。市船橋では1年からベンチ入り。ポジションは左サイドハーフ。好きな選手は香川真司。178センチ、68キロ。家族は両親と姉。