聖地の芝を永久に-。ベスト4が出そろったサッカーの高校選手権は11日に準決勝、13日に決勝が東京・国立競技場で行われる。国立は、建て替えのため7月に取り壊し予定。首都圏開催となった76年度から38年間、高校生の汗と涙が染みこんだ芝。国立競技場の協力を得た日本テレビが「プレミアムプレート」として3800円で販売する。

 ヒントは「甲子園の土」だ。高校球児と違って、高校サッカーには芝を持ち帰る習慣はない。しかし、スパイクに付着した芝を保存するなど、選手の「聖地」への思いは強い。試合をした選手はもちろん、国立のピッチを夢見たサッカー少年にとっても特別な意味を持つ記念グッズになる。

 実はサッカー界でも例はあった。04年、浦和がJリーグ初優勝を決めた駒場スタジアムの芝をカードに封入し、翌年のイヤーブックに付けたことがある。サポーターの間で「お宝」になったプレミアグッズ。日テレの担当者は「選手権ファンにも、いい思い出になるはず」と話している。

 実際には、現在の芝になったのは20年ほど前。それでも、国立のピッチで数々のドラマが生まれたのは間違いない。今大会開幕戦まで121試合。浦和南と静岡学園との5対4の壮絶決勝に始まり、東福岡と帝京の雪中決戦、野洲のセクシーフットボールなど歴史が詰まっている。プレートには、過去の名勝負を振り返る決勝戦の全成績も書き込まれる。記念の芝が刈り取られるのは歴史を締めくくる決勝戦の翌14日だ。

 ◆国立の芝

 58年の開場以来「夏芝」が使用され、サッカーやラグビーが佳境となる冬は「枯れ芝」が普通だった。年中青々とした芝の欧州のチームなどに受け入れられず、80年代のトヨタ杯では枯れた芝を緑に着色する「荒技」も行われた。Jリーグ開幕を前にして、冬でも芝を絶やさないことを目標に試行錯誤。91年に日本の環境では難しいと言われていた「冬芝」との二毛作に成功し、全国のスタジアムに広がった。