大会が開幕し、なでしこジャパン(FIFAランキング8位)は韓国(同15位)に3-2で競り勝ち、白星発進した。2度リードを奪いながら守備がばたついて2失点したが、2-2の後半38分にこぼれ球を拾ったFW岩渕真奈(24=INAC神戸)が勝ち越しゴール。11年女子W杯優勝、12年ロンドン五輪銀メダルに貢献した点取り屋がきっちりと仕事をした。国内組で臨む男子は今日9日に初戦で北朝鮮と顔を合わせる。

 岩渕は冷静だった。ロスタイム突入まで7分。MF中島の放ったシュートがクロスバーで跳ね返った。こぼれ球が目の前に転がってくるとフェイントで切り返して相手をかわし、右足で流し込んだ。「やけに落ち着いていたなと思います」。田中、中島の得点で2度リードしながら追いつかれる中、代表41戦目、W杯優勝など10代の頃から活躍する24歳が試合を決めた。

 右膝の故障もあり、10月のスイス戦が約7カ月ぶりの代表復帰だった。復帰2戦目となる11月のヨルダン戦にフル出場し、2得点で完全復活をアピール。佐々木前監督の下では途中出場で流れを変える切り札の役目が多かったが、高倉監督体制では先発機会が増えた。岩渕は「より献身的にならないと」と韓国戦も最後までピッチを駆け回った。高倉監督は「パフォーマンスが落ちずに、最後まで戦う姿勢を出してくれている。彼女が90分間通してプレーできるようになったのは日本の財産かなと思います」と高い評価を与えた。

 今回は高倉監督体制では初の公式大会で、W杯予選を兼ねる来年4月の女子アジア杯の前哨戦でもある。ここ3戦で1分け2敗だったライバルから11年9月3日以来の白星を挙げ、3大会ぶりの優勝に向けて第1関門を突破。岩渕は「2020年に向けても、日本でできる大会は限られてくる。今回はただの大会ではない。チームとしても個人としても結果を求めていきたい」。世代交代の進むなでしこジャパンの新エースが頂点まで導く。【松尾幸之介】