サッカー日本代表DF長友佑都(32=ガラタサライ)が、背水の重圧を自らに課してアジア杯UAE大会(来年1月5日開幕)に臨む。

28日、千葉合宿に合流した。同じタイミングで合流したMF堂安律(20=フローニンゲン)らとともに、ゲーム形式の練習には加わらずにランニングなどでコンディション調整に努めた。

若返りが進む森保ジャパン。年長組の1人として、危機感がある。

「個人的には、活躍できなかったらもう呼ばれないという覚悟で臨んでいる」。

年齢は関係ない。その信念は変わらない。ただ一般論として、年長の選手がパフォーマンスが良くなければ、将来ある若手にチャンスを与えるという考え方も十分に理解している。

10月24日、欧州チャンピオンズリーグのシャルケ戦で負傷した。試合中にボールが胸を直撃し、ピッチに倒れ込んだ。左の肺に穴が開き、空気が入らないパンク状態に。肺気胸と診断され、右の肺と比べてサイズが小さくなって戻らない時期もあった。医師の見方は「年内の復帰も難しいのでは」。ベテランとして、実力を見せ続けなければ次はない。その危機感の中、アジア杯は一度、絶望的になった。

そこから驚異のカムバックを見せた。リハビリはもちろんのこと、いつも以上に食事にも気を配った。「ドクターも驚いていた」という順調な回復で、大幅に早い約1カ月で復帰を果たした。

11年大会の優勝、準々決勝で屈した15年と、2度、アジア杯を経験している。

「アジア杯は落とし穴だらけ」

発足から5戦負けなしの勢いそのままにUAEへ乗り込む森保ジャパン。若手の躍動が目立つ中、ベテランはこう続ける。

「アジア杯は、親善試合とは全く違う。別の競技だと思っている」

対戦するすべての相手が“打倒・日本”で向かってくる。引いて守りを固めてからのカウンターか、セットプレーでの得点で勝ちきることに徹してくる。

「壁にぶち当たったときに、一気に崩れる怖さもある」

アジアの戦いの難しさは先に伝えるつもりだが、うまくいかないことは必ず出てくる。そのときこそ、自身の真価が問われる時だという自負がある。

「どっしりした選手がいるだけで、脇選手は落ち着く。自分も経験した。うまくいかない時こそ安心感を与えられる選手でいたい。自分がなにを提供できるか、自分でも楽しみです」

求められるものは、個人のパフォーマンスだけではないと理解している。1選手として、そしてチームの先導役として。多くの役目をまっとうし、2大会ぶりのタイトルをもたらす。