DF杉岡大暉(20)の武器はピッチの端から端まで走りきる「運動量」だ。所属の湘南では左MFとして攻守にピッチを駆け回り、正確なクロスを供給してチャンスを演出。年代別代表の試合でも同位置でポジションをつかみ、その力を発揮してきた。

今では長所ともされる“走力”だが、もとから得意なわけではなかった。高校時代に市船橋で杉岡を指導し、現在は千葉U-18監督の朝岡隆蔵氏は「入学してきた時はチームで1番足が遅かった」と振り返る。182センチの体と正確なキックは中学時代から健在。それでも当時所属していたFC東京の下部組織からU-18へは昇格できず、市船橋へ進学した。

悔しさをバネに高校では早朝や練習後にフィジカルトレーナーの作った専用メニューに毎日取り組み、体の使い方や足の運び方などを染み込ませた。朝岡氏は「遅さを感じさせないプレーができるようになった。3年間本当に続けましたからね。目的意識を持って努力できるし、とにかくぶれない」と評価した。複数クラブ争奪戦の末に「市船橋とサッカーが似ている」と湘南入り。当たり前のように行われる1日2部練習など曹監督の走り勝つサッカーに食らいつき、現在のプレースタイルを身につけた。代表でも「湘南でやっていることを示したい」と言う。地道に培った“自慢の足”で南米の地での飛躍を狙う。【松尾幸之介】

◆杉岡大暉(すぎおか・だいき) 1998年(平10)9月8日、東京都出身。東京U-15深川でプレー後、市船橋に進学。16年に高校総体優勝。17年に湘南入り。プロ1年目からレギュラーに定着し、2年目の18年にはルヴァン杯でMVPを獲得。世代別日本代表としても17年のU-20W杯に出場するなど活躍。J1通算44試合1得点、J2通算37試合3得点。182センチ、75キロ。利き足は左。