日本協会は4日、東アジアE-1選手権(10日開幕、韓国・釜山)に臨む男子の日本代表メンバー22人を発表した。J1優勝に王手をかけている横浜F・マリノスで得点ランク首位タイの15得点を挙げている、身長161センチの仲川輝人(27)がMFで代表初招集された。93年のJリーグ創設以降では、代表最小兵。今季リーグMVPの最有力候補とされるドリブラーが代表定着を狙う。また、東京五輪世代のU-22(22歳以下)日本代表19人も発表された。同代表はジャマイカとの国際親善試合(28日、長崎)に臨む。

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身長161センチ、小さな背中に大きな夢を乗せ、仲川がついに日本代表初選出を果たした。所属の横浜は、圧倒的に有利な状況でリーグ制覇に王手をかけている。この日は練習はオフだった。クラブを通じ「日本のプライドを持って、1戦1戦やっていきたい」とコメントした。7日は15年ぶり優勝と、自身の得点王をかけ東京との直接対決。“前祝い”ともいえる選出だ。

国内組しか呼べなかったにせよ、当然ともいえる招集。森保監督は都内での会見で「得点という結果、チームでの存在感という部分でも代表にふさわしい活躍をしている。これから先の戦力となる可能性をもっている選手」と評した。

身長161センチ。93年のJリーグ創設以降では、今年6月の南米選手権に出場したMF伊藤達哉の163センチより小柄な、最小兵の日本代表の誕生だ。仲川は「DFの懐に入れるし、相手もやりにくいと思う」とその小ささも、武器として生かす。50メートル5秒台の俊足。スピードあふれるドリブルで相手守備陣を切り裂いてきた。

やっとたどり着いた。ずっと、世代別も含め縁のなかった日の丸。「代表には正直入りたい」と強い思いを抱き、直近の代表戦もチェック。「自分もやりたいなと思った。チャンスはあると思うし、裏をとる動きやドリブルをみせたい」と話していた。結果を残しながらその時を待っていた。

いきなり重い背番号10を背負う。これまで代表を期待する声をかけられた際には「(入るなら)もう少し早く入りたかった」と話すなど、遅咲きであることも自覚している。ハリルホジッチ監督が率いていた2年前、前回大会ではMF伊東(当時柏)やDF室屋(東京)らが代表デビュー。そこからA代表に継続して呼ばれ、今や主力を脅かすような存在となった。「マリノスの代表として、恥じないようなプレーをしたい」。今季リーグMVPの最有力候補とも呼ばれる男が、満を持してその舞台に挑む。【松尾幸之介】

◆仲川輝人(なかがわ・てるひと)1992年(平4)7月27日生まれ。神奈川県川崎市出身。高校まで川崎Fの下部組織で育ち、専大では1年から主力として活躍。関東大学1部リーグ4連覇。3年時には得点王にも輝いた。15年に横浜入りし16年に町田、17年には福岡に期限付き移籍でプレー。161センチ、57キロ。