ミャンマー代表を率いたドイツ人のヘイ監督は「日本が格上だと分かっていたので驚きはない。大変よい体験ができ、多くを学ぶことができた」と、日本に敬意を表した。

試合前、会場周辺にはミャンマー国籍の人々約70人が集まり、ミャンマー国内で起きている国軍のクーデターへの抗議活動を行った。

国歌斉唱時には、控えの選手1人が、軍への抵抗を込めた「3本の指を掲げるポーズ」をとった。指にはメッセージも書かれていた。

ヘイ監督はこれらについて「(3本指のポーズは)気がつかなかった。見ていないのでコメントはできない」「どういう理由でスタジアムに集まっていたのか分からない。私たちはサッカーに集中する立場にある。政治的な立場はとらない」などと、政治情勢についてのコメントは避けた。

F組の残り試合は日本での集中開催となっており、ミャンマーはこの後6月11日にキルギス戦を、同15日にタジキスタン戦を戦う。ヘイ監督は「これから2週間準備をするが、そのために多くを学べた。アジア最高のチームと対戦する難しいタスクを乗り越えることができた。大敗ではあるが、それに勝る貴重な経験ができた」と話した。

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ミャンマーは、国軍によるクーデターから約4カ月が経過したが、国軍の弾圧で800人超が死亡するなど民主化の回復が絶望視される中、何とか来日した。27日の試合に向けた公式会見で、ヘイ監督(50)は「サッカーに集中します」と言った。

来日は1週間前。「大変難しい状況。コロナ禍で、国際線の便数も限定的。入国手続き、事務手続きも非常に困難。その中で、来日できたことは幸運だった」と指揮官は明かしている。

複数の代表候補選手は、国軍に抗議する「不服従運動」の一環として、今回の日本戦の出場を拒否した。来日した24人に、19年9月の敵地での対戦で登録された選手は7人しかいない。国内のリーグ戦は昨年10月から中断中。指揮官が「選手選定は難航しました」と話す中、4月20日に代表活動をスタートさせた。

難しい立場なのか、指揮官は会見で言葉を選び、「私の仕事はミャンマー代表チームの監督をすること。政治家ではない。(軍の)圧力に関しては、私はそのような影響を受けたことも、及ぼせると思ったこともない」とサッカーと政治は無関係という点を強調しつつ、試合の日を迎えていた。