日本(FIFAランキング23位)が、東京・国立競技場で王国ブラジル(同1位)と国際親善試合「キリンチャレンジ杯」で対戦する。

試合は6日午後7時20分キックオフ。11月開幕のワールドカップ(W杯)カタール大会に向け、貴重な強化試合となる。

超豪華メンバーでやって来たブラジルは、A代表としては、優勝した2002年W杯日韓大会以来の来日。招集されているのは、ネイマールを筆頭に世界の超一流ばかりで、先発11人の市場価値は合計で約680億円と日本の約7倍。

国内での対戦は01年コンフェデレーションズ杯以来21年ぶりとなる。

注目の一番に向け、89年7月のブラジル代表との初戦でGKとしてゴールマウスに立った森下申一氏(61)に、思いを聞いた。

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89年7月、リオデジャネイロ。日本サッカーは王国の力を知った。ブラジルとの初対戦。GKとしてゴールマウスに立った森下申一氏(61)は現在、磐田の下部組織でGKテクニカルコーチを務める。当時を振り返り「選手の立場から言えばそんなに(力の差は)遠くないと言いたいが、かなりあった」と振り返った。

親善試合で、スタジアムが観客で埋まることもない。のんびりしたムードで試合開始の笛が吹かれた途端、黄色の軍団が襲いかかってきた。「選手の距離感やコンタクトの強さ、細かなところを通すパスの技術。敵ながら、試合をしていて楽しいくらいだった」。止めたシュートは32本。終盤にFWビスマルクに決められ、0-1で力尽きた。

現在のような映像も簡単には手に入らない時代。数少ないブラジル代表のビデオを食い入るように見つめ、位置取りやセービングを学んでいた。「雲の上のような存在」だったカナリア軍団。いざ目の前にした感覚は「ポジションによってどんな役割なのか、同じイメージを持っている。選手がぱっと合わさって、システムが(クラブと)多少違っても、すぐにみんながひとつの方向を向いてやれるのが大きな違いだった」。ある意味で即席チームとなる代表。共通の認識を持つことは簡単ではないが、ブラジル代表にとってはまったく問題ない。サッカーが老若男女の文化として根付く王国たる由縁を見せつけられた。

あれから30年以上が経過。日本代表は大きく進歩した。現代表のGKシュミット・ダニエルらの名前を挙げ「フィジカルで言えば、変わらないくらい大きくなっている」と期待も込める。「GKはチームの協力をあおいで、ピンチを未然に防ぐことが大切になる。全員守備はできる」。圧倒的に攻め込まれることが予想される一戦は、裏を返せばGKがヒーローになる可能性がある。「森保監督が作ってきたものをぶつけて、勝てるところを見せてくれたらうれしい」。13度目の対戦での初勝利へ、エールをおくった。【岡崎悠利】